桜の木の下には






お目汚し、失礼いたします。



本日はいわゆる寒の戻りというやつでございましょうか。
かなりヒンヤリとした一日となったようでございます。
ここ数日、比較的暖かい日が続いておりましたので
なおさら寒く感じられたようでございます。



先月末から今月初めにかけて気温の上昇がかなり急激でございました。
そのせいかアレヨアレヨというまに桜が満開となり、早々に散ってしまいました。
私どもの地元では先月末の土曜日がもっとも見ごろだったようでございまして
その日、桜並木のある道を車で仕事先へと向かっていた私は
これからお客様と会わなければならないのだと重々承知しながらも
ついつい並木のそばの路肩に車を停めてしまい
満開の木々から桜の花びらがゆっくりと舞い落ちる様子を暫し眺めておりました。



いい年をして何をやってるんだと自身を叱咤する声が頭の中で木霊しておりました。
しかし、やわらかい薄紅色の花びらがおだやかに上品に舞い落ちるさまは
それを愛でるために時間を割くことを厭うという方が
むしろ罪深きことのように思えてくるほど、あでやかでございます。



ふと、フロントガラス越しに舞い落ちる桜の花びらを何に例えようかと考えました。
桜吹雪というほど風は強くはなく、花びらはお互いが近すぎもせず、遠すぎもしない間隔を空け
静かにやんわりと舞い散っていきます。
それは花弁というよりかは、淡いピンク色をした極小の鳥のようでございまして
神々しい生命感に溢れておりました。
ハチドリよりも小さな小さな薄紅色の鳥たちが
天上から地上へゆっくりと舞い降りているのでございます。



そんな神秘的な光景を目にするうちに、天上から降り注ぐ淡色の花びらを
こころゆくまで頭から全身に浴びてみたいような渇望を覚えました。
素っ裸になり、五体すべての素肌に薄紅色の極小の鳥を降臨させるのでございます。
服を脱いだ私が車のドアを開けて並木道に立ち
四肢を大きく広げて彼らを全身で受け止めるのでございます。
極小の鳥たちは、その柔らかい雄しべのような鉤爪で私の素肌の隅々に止まり
その小さな羽を休めることでしょう。



そして私の全身を覆い尽くした彼らは、何か美味しいものはないかしらと
細かい雌しべのようなクチバシでいっせいに私の素肌をつつくことでしょう。
微細な泡が全身の体表から湧き上がってくるようなその感触によって
地上から天上へと吸い上げられていくかのごとき快感に肉体の芯を貫かれた私は
背中を弓なりに反らせて ピュッピュ! ピュッピュッ! とばかりに精を放ってしまうのでございます。
しかも極小の鳥は何度も何度も私の素肌をクチバシでついばみ
間歇的に訪れる快感の火柱に繰り返し繰り返し突き上げられた私は
やがて天上へと舞い上がっていくのでございます.....



春の空気と桜の花びらにはそんな幻想に浸かりたくなる霊妙な何かがございます。
桜の木の下には屍体ならぬ変態が埋まっているのかもしれません.....





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可愛い女






お目汚し、失礼いたします。



先月半ばごろのことですが
不倫をやらかしているとのことで元アイドルで女優の高橋由美子さんが
週刊文春の直撃取材を受けている様子をテレビで拝見いたしました。
高橋さんは不倫相手の男性とともに文春の記者のインタビューを受けておりましたが
雨が降る中、記者にいろいろとつっこまれながらも丁々発止のやり取りを繰り広げ
全く悪びれる様子がございません。
そのため、かたわらで傘を持ってボォ~と立っている不倫相手の男が実にマヌケで情けなく
その顔が一般人ということでボカシがはいっておりましたが、なにやらイライラいたしました。
高橋さんよりも、妻子がありながら元アイドルに手を出したこの野郎の方に対して
怒りを覚えた次第でございます。



所属事務所からねじ込まれたのか、さすがに本人もマズイと思ったのかは存じませんが
結局のところ、高橋さんは後日、謝罪会見をおこないました。
今の御時勢、不倫という反道徳的所業に手を染めると
凶悪犯罪者なみの扱いを受けてしまうのでございます。
それにしても文春の記者のインタビューに対して
一歩も引かないで強気な物言いをしていた高橋さん、何やら可愛いという印象を受けました。
若い頃ならいざ知らず、私もこの年になると、元アイドルの40代半ばの女性が
さえない不倫男と一緒に突っ立ったまま自分の非を認めようとせずにまくし立てる姿は
先生や親に叱られているいたずらっ子が必死に弁解をしているように見えてしまうのでございます。



若い頃、松田優作主演の映画「 蘇える金狼 」を見たのですが
映画の中で風吹ジュン扮する永井京子が情事のあと
松田優作演じる朝倉哲也の手を握りながら
「 あたし、悪い女?」と問いかける場面がございます。
京子は小泉という男と付き合いながら二股をかけて朝倉に抱かれたわけでございまして
しかもその小泉は妻子持ちなのですが
そんな京子の問いかけに朝倉は一言「 可愛い女だ 」と答えます。



このセリフを聞いたとき、実にうまい返答をするものだなと思いました。
そして自分もこの映画の朝倉のように駅弁スタイルでHをしたあとは
ベッドに横たわってタバコをくゆらせながら
「 可愛い女だ 」と言ってみたいなどと大それた事を考えていたのですが
そんな野性味溢れるセリフが言えるほどカッコいい男になることもできず
しかも駅弁スタイルでHができるほど腰が丈夫でもなくチンコも強くないわけでございまして
そもそもそんな女性とのつきあいが私のような覇気の無い男にできるわけもございません。
そしてそれは今に至るまで一貫して変わっていないのでございます。



文春の記者とやり合う高橋さんの姿は確かに可愛ぅございました。
しかし、もし仮に今、あのときの朝倉哲也のようなシチュエーションで
私が高橋さんに何か言えたとしても「 可愛い女だ 」とはとても言えますまい。
たぶん「 怖い女だ 」というセリフになってしまうかと存じます.....






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