騙し騙され







お目汚し、失礼いたします。



大阪市は阿倍野区にある高層ビル、あべのハルカスの16階にて
今月16日から来年1月14日の間
「 生誕120年 イスラエル博物館所蔵 ミラクル エッシャー展 」と銘打って
騙し絵で有名な版画家マウリッツ・コルネリス・エッシャーの展覧会が開催されます。
エッシャーや福田繁雄氏など騙し絵・トリックアートの作家が好きな私は
若い頃、その手の作品の展示会や催しによく出かけておりました。
今回の催し、今のところはちょいと忙しくて行けそうにないのですが
時間に余裕ができればぜひとも見に行くつもりでございます。



トリックアートといえばスティーヴン・スピルバーグ監督の
「 インディ・ジョーンズシリーズ 」の第3作「 最後の聖戦 」に出て来た
トリックアートを使った印象的なシーンを思い出します。
ネタバレになりますし、厳密に見ればツッコミが入るようなシーンなので
あえてどの場面かは申しませんが
騙されることの心地良さを味わうことのできるおもしろいシーンでございました。
まぁ騙し絵やトリックアートに限らず、推理小説とかミステリーなども
人は騙されることを楽しんでいるわけでございまして
突き詰めれば映画にしろ小説にしろ、フィクションを前提としたエンタティメントは
すべてその内容を現実の事だとして騙されて楽しむものだと言えましょう。



もちろん騙し騙されということがフィクションの世界ではなく
現実世界においておこなわれ、しかもそれが犯罪がらみだということになれば
シャレにはなりません。
振り込め詐欺やオレオレ詐欺の被害に遭って楽しいかたなどいらっしゃらないでしょうし
もっと大きな規模、何十億という詐欺被害となると
騙されることを楽しむなどとはとても言ってはおられません。



最近、大手不動産会社がいわゆる地面師グループに騙されて
数十億円にものぼる損害を被った事件がございました。
犯人グループには弁護士や司法書士を経験したことのある者もいるようでございまして
土地の所有者に成りすました婆さんを使って
不動産会社からまんまと大金をせしめたのでございます。



もっとも、騙された不動産会社の側にも若干の落ち度があるようでございまして
この案件を扱っていた担当者や責任者は、おそらく会社から左遷かクビを宣告されるでしょう。
ひょっとすると今ごろ彼らは

頼む、どうか夢であってくれ!
夢でなければ、俺は破滅だ! 今回のことは絶対に夢だ、夢に決まってる!
そうだ、これは「 元祖どっきりカメラ 」とか「 スターどっきりマル秘報告 」とか
「 モニタリング 」とかいったテレビ番組が企画した大掛かりないたずらなんだ! 
今にも野呂圭介が赤いヘルメットをかぶり、青いプラカードを持って
俺の前に姿を現すはずだ!
いや、もしかするとフラッシュモブかもしれんぞ!
これは誰かが俺を驚かそうとして仕組んだフラッシュモブなんだろ?
もうじきあの犯人グループのオッサンや婆さんが
コーラスとともに軽やかなステップを踏みながら踊りだすに違いない!


……などと虚しい妄想にすがりつき、錯乱状態に陥っているかもしれません。



とはいえ、日常生活において人間は
ビジネスでの駆け引き、夫婦間のコミュニケーション、御近所とのつきあいなど
色々な局面において、多少なりとも相手を騙したり相手から騙されたりしているものでございます。
考えてみれば怖い話だし、悲しい現実ぢゃないかとおっしゃるかたもおられましょうが
それで何のトラブルも無く、むしろ世の中がうまく回っているということは
嘘や虚構が人間社会を円滑に動かすための
ローションあるいはワセリンとしての役目を果たしているからといえましょう。
何しろ「 嘘も包茎 」と申しますゆえ.....





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一難去って一安心






お目汚し、失礼いたします。



得意先の工務店の社長がぼやいておりました。
6月に地震、9月に台風で仕事がひっきりなしに入ってくる。
壁にひびが入った、屋根が剥がれた、瓦が飛んだ、シャッターが壊れた
サイディングが落ちた、ブロック塀が崩れたと被災した一般家庭や企業から
次々と見積もりや修理の依頼が舞い込んで来て忙し過ぎるというのでございます。



普通なら嬉しい悲鳴といったところでございましょうが
被災されたかたのことを考えるとそんな不謹慎な気分になることもできず
仕事に没頭しようにも人手や物資が足りずに物事が前に進まないとのこと。
仕方ないので人手の面に関しては自分で何もかもやっているのですが
もういい年なのにろくに休みも取らずに朝早くから夜遅くまで働き詰めで
セルフブラック企業状態だそうでございます。



6月に起きた地震の時からすでにこういう状態で
8月末ごろにようやく地震関係の仕事が片付く目処が付き
「 やれやれ。やっと9月からは休みを取れるぞ♪」と思っていたら
今度は台風による災害でございます。
毎朝、寝床から起きるのが耐え難いまでの苦痛だとおっしゃっておられました。



一難去ってまた一難と申します。
人生とは苦難の連続でございまして、この工務店の社長の場合のみならず
誰しも何か一つ危機的状況が去ったと思ったら
またしても危機的状況に追い込まれるというのはよくあることでございましょう。
あるいは、まったく別の危機が、たとえば忙しすぎる状況が消え失せたと思ったら
今度はヒマすぎて困るという危機もありましょう。
そして、たとえどれほど順風満帆な人生を歩んでいても
その終着点に控えているのは「 死 」という紛うかたない現実でございます。
してみると、人生において絶対的な平穏や安心など存在せず
単に「 一安心 」の連続でしかないのではないかという気がいたします。



もっとも、地に足の着いた慎ましやかな生き方をしている人間ばかりではなく
よこしまな考え方に基づいて野放図な毎日を過ごす人間にも
その人生には同じ仕掛けが施されているのでございます。
俗に「 陰毛痒い痒い粗相漏らさず 」などと
おっと失礼、「 天網恢恢疎にして漏らさず 」などと申しますが
不正な行為や乱暴な振る舞いをする人間の人生も
大きな悪行に手を染める者やちっぽけな罪を犯す人間の人生も
単なる一安心の連続でしかございません。



いずれにせよ人生とは
突然腹痛を催し、公衆トイレの個室に駆け込んで ホッ としたら紙が無かった。
たまたまポケットティッシュを持っていたので胸をなで下ろしたが
用を足して出ようとしたら個室のドアが壊れていて外に出られない。
仕切りの壁をよじ登り、個室の上から飛び降りて脱出成功!と喜んでいたら
盗撮犯と間違われて通報された……というようなことの繰り返しでございましょう。
それを「 一難去って一安心 」と思うことが
人が生きていくうえでのスベではないかと存じます.....





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早朝出社






お目汚し、失礼いたします。



これはいったいどうしたことでございましょう。
日本とフランスの2カ国にまたがってニッサン・三菱自動車・ルノーという
大手自動車メーカー3社を束ねていたトップの男が
カネにまつわる不正な行為をやらかして東京地検特捜部にタイーホされております。
男の名はカルロス・ゴーン。
何やらマフィアのゴッドファーザーのごとき趣のある名前でございますが
犯した罪の容疑は自分の給与が高額過ぎるという世の批判を気に病み
半分に減額して申告したという小心者を絵に描いたような所業でございます。



もっとも、半分に減額して申告したのはともかく
世の批判を気に病んでいたというのは現在のところは推測の域を出ていません。
これから取り調べが進むにつれて事の真偽が明らかにされていくでしょう。
もしかすると申告しなかった残り半分のカネは、なんとなくコワモテのするその名に違わず
バカラ賭博を開張するような違法カジノや高級コールガールを提供する売春組織などの
運営費用に使っていたのかもしれません。
また会社の資産を私的に流用していたという疑いもあり
意外とツラの皮やチンポの皮が厚い人物なのかもしれません。



カルロス・ゴーン氏と言えば私
氏がニッサンの社長に就任したばかりの頃に流れていた
テレビのドキュメンタリー番組を思い出します。
当時はまだ外国人が業界トップクラスの大企業の社長に就任する
というのは珍しかったようでございまして
番組はゴーン氏に対する密着取材のような形で構成されておりましたが
私が特に印象に残っているのは氏がまだ暗いうちから誰よりも早く出社して
執務室のデスクトップPCを立ち上げているシーンでした。



氏が申すには、早く出社すればそれだけ時間に余裕ができて
色々な用件や仕事を片付けることができるとのことですが
それを見て感じたのはこの人、根っからのビジネスマンであり
また始業時間よりもかなり早く出社するところは
旧来の日本の企業経営者に通じるようなものがあり
それだけ氏が真剣にニッサンという巨大な企業の業績立て直しに取り組んでいる
という好感めいたものでした。



大企業の経営者で接待ゴルフの日でもないのに
早朝から出社などなかなかできることではございません。
私なんぞ仮に自分が大企業の社長で早朝出社することがあったとしても
朝勃ちの勢いを借りてオナニーをするために
オカズのエロ画像を呼び出そうとPCを立ち上げるのが関の山でございます。
まぁそれはともかく氏の早朝出社、今にして思えば
残念ながら何やら皮肉なニオイがしてまいります。



氏がおこなった不正行為が具体的にどのようにおこなわれたのか
今のところ東京地検特捜部は全面的な情報提供はしておらず
ニッサンも三菱自動車もルノーもはっきりとした詳細を明らかにしておりません。
しかし氏がその真面目さを印象付けた早朝出社によって、社内の誰からも気づかれることなく
何らかの悪巧みや不正行為を働いていたのだとしたら。
あの立ち上げたPCを使って数字や記載事項を不正に書き換えていたのだとしたら。



何やら裏切られたような思いがいたしましたが
さりとて激しい憤りを覚えるほどのことではございません。
所詮は雲の上にいるような人のことでございます。
もし此度の一件で怒り狂っているかたがいるとするならば
それはニッサンのイメージキャラクターを務めたことがあり
検査測定値の偽装の件も含めれば
一度ならず二度までも顔に泥を塗られたような格好になってしまった
気むずかしい某ロックミュージシャンでございましょう.....






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( 2018年11月21日23:00 )

ミノタケ刈り






お目汚し、失礼いたします。



先日、馴染みのお得意先から大きな仕事の話が舞い込んでまいりました。
成功報酬もかなりのもので、どぅれ一儲けしてやろうとばかりに
二つ返事でお引き受けしたのですが、仕事の内容を精査したところ
キャパシティを完全にオーバーした分不相応に大きな仕事だということがわかり
大慌てで辞退させていただく旨をお伝えいたしました。



辞退の旨を伝えるのがもう少し遅ければ話が正式に進み始めて
大変な事態になるところだったためヒヤヒヤものでございます。
このところ世間は比較的好景気が続いておりまして
そんな浮かれた空気に乗せられたために私の判断力が鈍ったのかもしれませんが
何やら自分を過大評価していた部分が無きにしもあらずのような気がいたします。
こういった自信過剰という厄介な荷物は
他者と比べて突出したもの、著しく異なるものが自己にある場合
なおさら重くなってまいります。



それは例えば学歴や経験であったり知識や技術であったりするわけですが
場合によってはその人間特有の価値観、感性、主義主張、イデオロギーが
根拠のない自信や不条理な行動力を本人に付与することがございます。
此度の失敗を自分なりに冷静に分析してみたところ
やはり私にもそのような点がいかばかりかあったことは否めません。



私の場合、それは自分自身の趣味趣向でございました。
仕事を引き受ける直前、内なる声が私に語りかけてきたのでございます。
自分は良きにつけ悪しきにつけ、他の人間とは違ったところがある。
鞭の音に胸が高鳴り蝋燭の熱に息を荒げるのは
自分が他の人間とは違う星の下に生まれたからだ。
縄の縛り具合や浣腸液が押し込まれていく様子に陶酔し
そんな世界を自分がこよなく愛しているのは
何か地球的規模の特別な意味があるのだと。



そういった思いが自分自身を見る目を曇らせてしまったのでございましょう。
どんな仕事も困難も、この身に備わった変態パワー、変態魂、変態根性の前では無問題。
独創性に富んだユニークな快楽や快感を開拓・開発していくという
変質者が潜在的に有しているフロンティアスピリッツで乗り切ろうじゃないかと軽く考え
変態最強、変態無双。そこのけそこのけアソコの毛。
そこのけそこのけ変態が通るとばかりに思い上がっていたのでございます。
ボールギャグに興奮し、鼻フックに心ときめかせているからと言って
大きな仕事を受注して、それを恙無くこなせるというものでもないのでございます。



人間というもの、若い頃はとかく自分自身や男性自身を大きく思いたがり
また大きく見せたがるものでございます。
しかし歳を重ねるにしたがって人は自分の身の丈を自覚し
それに応じた行動をとらねばなりません。
人生も50代にさしかかれば季節は秋でございます。
秋になれば野山にはマツタケが生え
人はキノコ刈りやマツタケ刈りを楽しむわけですが
人生において人は秋になれば自分のミノタケというキノコを刈らねばなりません。



そしてそれは実につらい作業でございます。
そのつらい作業を私はまだ終えていなかったのだと、ついこの間知りました.....






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