嫌譲の精神




お目汚し、失礼いたします。



交渉事における駆け引きのなかで
場合によってはあえて不利な条件を出しておきながら
実質的もしくは結果的にはこちらが得をするように
話をまとめるという手もございましょう。
いわゆる「 損して得取れ 」という手法でございますが
こういったやり方はうまくいけば万々歳、失敗すれば泣きの涙でございます。
私は今まで商売上の取引でこういった手段を使ったことが多々ございましたが
ほとんどの場合「 損して損した 」という結果に終わりました。



こちらが低姿勢に出れば相手も無茶は言ってこないだろう。
こちらがこれだけ譲歩しているのだから
相手もこれで満足して引き下がるだろう……
それはお互いに気心の知れた者同士の理屈でございます。
下手に出れば付け上がり、譲歩されるのが当たり前と思い込むような相手には
そのような理屈は通用いたしません。



今も流行っているのかもしれませんが
私が小学生だった頃、こんないたずらが流行っておりました。
「 おい、ちょっとあれを見ろ 」と何の変哲もない方向を指差して注意を促し
つられてそちらを見た相手に向かって「 アホが見~る~、ブタのケ~ツ~♪ 」
と歌いながらからかうのでございます。
私も何回かやられて悔しい思いをしたのでございますが
最近、仕事上やプライベートでの様々な場面において
この歌が頭の中で鳴り響くことが多くなりました。



私にはズーフィリアの趣味はございません。
それゆえブタのケツなど見たくもございませんし
豚は豚でも海豚の方がまぐわったときに気持ち良さそうでございます。
昨年、イルカとの性愛を綴った写真家の体験記が
米国の方で出版されたそうですが
そんなに気持ちがイイものならば、私もイルカと同棲生活をして
「 イルカに乗った中年 」という手記でも出版しようかと存じます。
もっとも、同じイルカならシンガーソングライターのイルカのような
熟女の方がよろしゅうございましょう。



……ええと、どこまで書きましたでございましょうか。
そうそう、日常生活において「 アホが見るブタのケツ 」という歌を
脳内で耳にすることが多くなったという話でございます。
50を越え、これまでの人生を振り返ってみると
自分は仕事ばかりではなくプライベートな面でも
「 損して得取れ 」というノウハウに頼りきり、失敗を繰り返してまいりました。
損して得を取るどころか、損して馬鹿を見るばかり。
そんな馬鹿を見ることばかりしているうちに、やがてアホになり
ブタのケツを見るようになるほど落ちぶれた自分には、この歌は実にふさわしいと
最近しみじみと感じるようになったのでございます。



謙譲の精神もよろしゅうございますが
「 嫌譲の精神 」を剥き出しにする相手には何の役にも立ちません。
ヘタをするとブタのケツを見る羽目になるばかりか
自分のケツの毛を根こそぎ抜き取られてしまいましょう。
そして挙句の果ては軒を貸して母屋を取られ
よそ者やならず者に財産ばかりか命まで取られてしまうのでございます。



最近のわが国を見ておりますと
国家的レベルにおいても個人的レベルにおいても
そんな風になっているような気がしてなりませぬ.....






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