マンション幻想




お目汚し、失礼いたします。



石を投げれば当たるとまでは申しませんが
何やら昨今、マンションをよく見かけるようになった気がいたします。
それも新築マンションがことのほか多く見受けられるようなのですが
こんなにたくさんマンションを作ってどうするのでございましょう。



ちゃんと入居予定者がいるから作っているのでしょうが
私の印象ではせっせと空き家を作っているような気がしないでもありません。
現に建っていたり、あるいはこれから建ちつつある多くのマンションが
すべて空き家になってしまったら
その管理費・維持費はどうなるのでございましょう。



そうやって経費がかさんだ結果
経営が傾いてくるデベロッパーも居ることでしょう。
特に大規模な都市開発をいくつもこなしているデベロッパーが
経営不振に陥れば、どうなりましょう。
例によって日本経済への深刻な影響を鑑みて
公的資金が導入されることになるのでございましょうか。



小規模なものはともあれ
巨大なマンション群があちらこちらで出来上がることに
私は不安を感じます。
いや、マンションばかりではございません。
何か大きな動き、何か大きな変化が起きるたびに
それによってもたらされるデメリットが、いつもいつも
一個人の力では抗うことのできないやり方で粛々と解決されることに
非常に理不尽なものを感じます。
経済が、政治が、文化が、人権が、平和が、国際社会が、と振りかざし
力ずく理論ずく情けずくで何もかも押し流してしまうこの世の中。



夜間、郊外の住宅地や都心の幹線道路を車で走っているとき
美しい夜景の一部を構成する巨大なマンションを目にして
ふと気が安らぐことがございます。
マンションの一戸一戸に明かりが灯っているのを見て
ああ、あの明かりの一つ一つに人が住んでいて
それぞれ生活を営んでいるんだ。今、食事をしているのだろうか
テレビを見ているのだろうか、家族で語らっているのだろうかなどと
勝手な想像を繰り広げて何かホッとした気分になるのでございます。



しかし誰も住んでおらず、人の気配も無く、何の明かりもついていない
真っ黒な建造物が立ち並んでいるのを見たとき
人はどんな気分になるでしょうか。
恐らく巨大な納骨堂か墓石が聳え立っているような
重苦しいものを感じるでしょう。
そして放置された墓場に蛆や雑草が湧くように
やがてそれらの建物には不法侵入者が住み着いて
スラム化してしまうことでございましょう。



心配性でペシミスティックに過ぎると言われましょうが
雨後の竹の子のごとく建ち続けるマンションに対して私は
理不尽で陰鬱で、そして腐臭が漂う
ネガティブな未来図しか描くことができません.....






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