変人がサンタクロース




お目汚し、失礼いたします。



私が営んでいる店では、お客様に提供する商品やサービスの一部を
五、六軒の仕入先から購入しております。
各仕入先には担当者がおりまして、ときどき営業活動の一環として
いわゆる「 御機嫌伺い 」にやって来るのでございますが
正直、私の店の仕入れ額など競合他店と比べると微々たるものですし
私のような変人の相手をするのは気疲れするのかもしれません。
各仕入先の担当者が私の店にやって来るのは
月に一回がいいところでございます。



むしろあまり来てもらわない方がこちらとしても気が楽でございまして
たまに「 ごめんやす 」とおいでになると、かえってプレッシャーとなり
余計な気を遣わねばなりません。
そして仕入れるものがあればまだしも、何も無いときは
何か景気のいい話でもしなければと思うのでございますが
それさえもございません。



そうなると、適当にその場を盛り上げるような話をして
お茶を濁そうと思うのでございますが
私、ネットはもちろんのこと、リアル社会でも
大して面白い話ができるわけではございません。
ともあれ、それでも仕入先担当者を面白がらせるような話をしようと
必死でネタを探し、ドラマティックに脚色して
一所懸命話すわけでございます。



さして面白くない話でも
最初のうち相手はお義理で笑ってくださいますが
やがて飽きてきて

( は? それだけ?)
( 何だ、つまんねーの )
( 他になんか無いの?)

といった目付きになってまいります。
しかし当方にはそれが本当にそういう目付きなのか
それともたまたまそう見えただけなのかが
イマイチ判然といたしません。
しかし最近、相手が退屈しているということを知る
決定的なメルクマールを見つけるに及びました。



どの担当者も、話が始まってからある程度時間がたつと
一瞬、鼻が赤くなります。
これは間違いなく、あくびを噛み殺していることの表れでございましょう。
つまり、口や鼻が大きく広がってあくびが出るのを防ぐために
鼻に不自然な力が加わって充血しているのでございます。
この事に気付いて以降、私は担当者の鼻が赤くなると
ここらが潮時だなと考え、話を切り上げるようにいたしました。



もうじきクリスマスシーズンと相成りますが
「 赤鼻のトナカイ 」というクリスマスソングがございます。
トナカイの鼻が赤いのは寒さや花粉症のせいではなく
サンタクロースのお供をすることに
退屈しているからかもしれません.....






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