胸騒ぎの悪勘




お目汚し、失礼いたします。



一週間ほど前、お得意様からお仕事の話がございました。
急を要する仕事だとの事ですが、話をよく聞いてみると
何やらイマイチ方向性のはっきりしない仕事でございまして
良く言えば「 臨機応変 」、悪く申せば「 行き当たりばったり 」
といった内容の仕事でございます。



いつもお世話になっている上に信用の置けるお得意様だったのですが
丁重にお断りいたしました。
少々のリスクは覚悟の上で引き受けようかとも思いましたが
何か裏がありそうだという胸騒ぎがしたのでございます。



実は以前、そういった勘を軽んじた私
苦い経験をしたことがあるのでございます。
3年前のことですが、或るお得意様から私に商品の修理依頼があり
エンドユーザーのところへ行ってちょっと話を聞いてやってくれないか
という連絡がございました。



その商品は、私がお売りしたものではございません。
私も同じ商品を扱っておりますが
問題の商品は別の業者が売ったものでございます。
しかもクレーム品だというのにもかかわらず、それは相手の思い込みだから
そのことを説明して通常の実費修理で済ませるようにしてくれと
お得意様はおっしゃるのでございます。
なにやら裏がありそうでしたが、「 そんなに厄介な相手じゃないから 」
というお得意様の言葉を鵜呑みにし、実費修理の方向で話をするべく
私はエンドユーザーのお宅を訪問いたしました。



で、そこに現れたのは、某元プロ野球監督の御内儀と
テレビのニュースバラエティ番組で見かけるフェミニスト女史とを
足して2で割らずにそのままドゾーといった印象の御婦人でございました。
おまけに実費修理とは程遠いレベルの話を延々と聞かされ
「 そんなに厄介な相手じゃないから 」という お得意様の声が
その間ずっと私の耳朶でむなしく木霊しておりました。



御婦人の方は、代わりの新品をもらう気マンマン
私の方は、狼狽と混乱で胸の中が悶々でございまして
正直なところ、ハメられたなという気がいたしました。
もちろんその御婦人とハメハメさせられたという意味ではなく
お得意様に一杯食わされたという意味でございます。
やがて馬鹿馬鹿しくなってきた私、適当な理由をつけて話を中断し
逃げるようにその場から立ち去りました。



これに懲りた私、悪い勘は当たるものだと常に念頭に置き
何か裏のありそうな話はスルーするということを
肝に銘じるようになった次第でございます.....








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