最後の遠足




お目汚し、失礼いたします。



私が小学6年生だった時の、とある秋の日のことでございます。
小学校最後の遠足でハイキングに行くことになり
他の生徒と一緒に私は学校の前に停まっている観光バスに乗り込みました。
私は最後部の座席に座り、やがてバスは出発したのでございますが
一時間ほど経ったころ、何気なく座席の後ろを覗くと
漫画雑誌らしきものが座席の下のほうに落ちていることに気付きました。
私たちの前に乗っていた観光客の忘れ物か、バス会社の関係者の落し物かは存じませんが
その雑誌を手にとって見ると、なんと「 少年ジャンプ 」ではございませんか。



今も発行されておりますが「 少年ジャンプ 」という少年向け漫画雑誌
私が小学生だった当時はヒジョーにセンセーショナルな雑誌でございまして
なぜセンセーショナルだったかと申しますと
永井豪氏の漫画「 ハレンチ学園 」が連載されていたからでございます。
当時としては画期的…おっと失礼、刺激的なエロシーンがその中で描かれているということで
かなり話題にもなり、問題にもなった漫画でございまして、そういったことから
「 少年ジャンプ 」と言えば「 ハレンチ学園 」、「 ハレンチ学園 」と言えばエロシーン、
よって「 少年ジャンプ 」と言えばイヤラシイという三段論法によって
「 少年ジャンプ 」はエロ雑誌の烙印を押されていたのでございます。



そのときの私、少年ジャンプという雑誌を手にしたことも無ければ
ハレンチ学園を読んだこともありませんでした。
何しろ当時の私の小学校では少年ジャンプを読んだり持ち合わせていたりすると
「 不良 」扱いをされるので、現物を手に入れることができなかったのでございます。
それゆえ偶然にも少年ジャンプをみつけてしまった私は
狼狽や戸惑いを感じていたのですが、同時に激しい好奇心が湧いてくるのを感じました。



巷を騒がせているハレンチ学園がこの本の中に載っているのだ。
いったいどんなシーンが描かれているのだろう。
怖さ半分、好奇心半分の宙ぶらりんな状態で、ページを開くのを躊躇していると
近くに座っていた男子のクラスメート2、3人が
少年ジャンプを手に持っている私に気付いて回し読みをしようと提案し
私から少年ジャンプを受け取ると担任教師の目を盗んで回し読みを始めました。
自分は遠慮しておこうかと思った私でしたが、やはり好奇心には逆らえず
クラスメートが目の色を変えて少年ジャンプを黙々と読んでいる様子を見ているうちに
胸がドキドキしてまいりました。そして自分の読む番が早く回って来ないかと
矢も盾もたまらなくなっていたのでございます。



やがて私の手に少年ジャンプが回ってきたのですが
その時はもうバスが目的地に到着する直前だったので
慌ててパラパラとページをめくりましたるところ
ビキニ姿の巨乳女性と、痩せぎすで髭モジャで毛むくじゃらのオッサンが
プロレスをやっている場面が目に入りました。
「 ハレンチ学園 」ではなく別の漫画だったのですが
グラマラスな女性が全裸も同然のマイクロビキニの水着を身に着け
リングの上で大の男とプロレスをやっているというシチュエーションに
小学生だった私の脳天は完全に撃ち抜かれてしまいました。
しかもよく見るとこの毛むくじゃら男、女性の豊満な胸に両手をめり込ませながら
「 モ~ミ、モミ 」と申しております。



オッパイを揉む表現として「 モミモミ 」という言い方はおなじみですが
長音記号と読点をつけて「 モ~ミ、モミ 」としたところがミソでございます。
そのセリフに何かしらとてつもなくイヤラシイ感じがした私、「 ハレンチ学園 」よりも
この名も無きエロ漫画の方にゾッコンとなってしまったのでございますが
バスはとっくに目的地に到着していたため、引率の担任教師に促されて
生徒たちが降車するために座席を次々と立ち上がるなか
歯軋りしたくなるような思いを抑え、少年ジャンプを座席の後ろに置いて立ち上がりました。



それからバスに戻るまで
ハイキングで歩いているときも弁当を食べている最中もおやつを口にしている間も
私の頭の中は、あの毛むくじゃらの髭面男にお乳を揉まれている巨乳女性の姿と
「 モ~ミ、モミ 」というセリフに蹂躙されておりました。
そして、バスに戻ったら絶対にあの少年ジャンプをリュックサックの中に入れて自宅に持ち帰ろう
と決意を固めていたのでございます。



しかしバスに戻ってきて座席の後ろを覗いてみたら、少年ジャンプは無くなっておりました。
バスの運転手もしくはバスガイドのオバチャン、あるいは学校の先生が
車内を点検して回収・廃棄したのでございましょう。



小学校での最後の遠足で記憶に残っているものといえば
この少年ジャンプのこと以外は皆無でございます.....





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