不可能な会話




お目汚し、失礼いたします。



昨日、昼食をとるために入った某ファミリーレストランで
一組の男女が食事をしているのを見かけました。
男も女も年齢は30代初め、両方ともビジネススーツに身を包み
サービスランチを食しております。



同僚と思しきその二人は、食事をしながら会話を交わしておりましたが
いったいどういう職業に従事しているのか
何やらむずかしい法律用語や経済用語を織り交ぜながら
お互いに丁寧な敬語を使って滔々かつ淡々と世間話をしておりました。



そこには男女間の生臭さや馴れ合いを感じさせるものなど皆無でございまして
なにやらよそよそしい感じさえする会話でございましたが
話の流れには一瞬の澱みも無く
また最後まで「 ハァ?」とか「 え?」とかいう声を一言も発すること無く
二人は滑らかな会話と食事を終えると駐車場に置いてあった乗用車に乗り込み
走り去っていったのでございます。



男性の方も女性の方も、知能指数が高そうな顔立ちと物腰の持ち主でございました。
さぞかし優秀な人間なのだろうとは思いましたが
二人が去ってしまってその場に居なくなると、彼らの交わしていた会話が
あらかじめプログラミングされたロボット同士の会話か
もしくはシナリオを丸暗記した役者のセリフのように思えてきて
急に違和感や不自然さを催してまいりました。



どこかの大手企業に勤めるエリート社員の男女が
ファミレスで昼食をとりながら会話をしているような態を装ってはおりましたが
たぶん倦怠期を迎えた夫婦が刺激を求めておこなった
一種の「 プレイ 」だったのでございましょう。
優れた知的労働者を第三者の前で演じて会食をした後
黴臭い四畳半のアパートに帰宅して
生尺とアナルセックスに耽るという落差の心地良さ。
そんなプレイに興じていたのかもしれません。



いずれにせよ、口下手な上に言葉尻を濁す癖のある私には
到底不可能な会話でございました.....






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