鈍舌




お目汚し、失礼いたします。



日常的な会話において誰かに何かを伝える場合
気の利いたオシャレな言い回しや無駄を省いた的確な表現というのは
なかなかできないものでございます。
そして自分の伝えたいことや伝えなければならないことが
相手にうまく伝わったかどうか、常に気になるところでございます。
わけても仕事中、特にお客様とお話をする際、私のようなコミュ力不足やボキャ貧の人間は
その点いつも胃が痛くなるような思いをしているわけで
どうして自分はこんなに口下手なのか、もっと舌が滑らかに動かないのかと
自分を呪うこと頻りでございます。



数年前、当時働いていた勤務先でのことでございます。
店頭を訪れたお客様と大事な商談を終えたあとに、世間話をしておりました。
PCのことに話が及び、やがて無線LANの話題になったのですが
そのお客様は私よりかはかなり年配で、パソコンやネットとはまったく縁の無いかたでしたので
それほど詳しい話はしなくてもいいだろうとタカをくくった私
無線LAN機器について得意満面で説明したのでございます。



されどいかんせん私、素人に毛が生えた程度の知識しかありませんし
前述のとおりコミュ力不足のボキャ貧野郎ゆえ、LANだとかホームネットワーク
親機・子機といった言葉の意味を説明するのに、イマイチ垢抜けた表現ができません。
大汗かきながら、回りくどくて意味不明な言い方に終始し、挙句の果てに
無線LAN用の子機のことを「 電波を吸ったり吐いたりする呼吸装置 」と申してしまいました。



なぜ「 アンテナ 」という表現ができなかったのか、今も臍をかむような思いが尽きません。
恐らく大切なお客様を前にして緊張していたことが大きな原因だったのでしょう。
ともあれ、そんな私の稚拙な説明を御理解いただけたかどうかは存じませんが
お客様は始終にこやかに私の話に耳を傾けておられました。



それからまもなく世間話は終わり、お客様はおいとまを告げられたのですが
きっと腹の底ではこう思っていらっしゃったことでしょう。「 日本語でぉk 」と。





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