建物の中の街




お目汚し、失礼いたします。



この前の日曜日、家でゴロゴロしていても仕方ないので
どこかへ出かけようと思いましたが、特にいくアテもございません。
都心の繁華街でもブラブラしてみるかと思いつき
電車に乗って大阪の梅田界隈へ行くことに決めました。



阪急梅田駅で降りた私は、阪急百貨店うめだ本店へと向かいました。
阪急百貨店うめだ本店は昨年、改装工事が完了して
リニューアルオープンいたしております。
出かける前は、梅田界隈を歩き回った後
JR大阪駅の北側につい先月オープンしたグランフロント大阪まで
足を伸ばそうと思っておりましたが
体力的にも時間的にも、とてもそんな余裕はなさそうでございましたので
結局、新装開店した阪急百貨店を見に行くだけにとどめました。



で、阪急梅田駅から「 動く歩道 」に乗って
阪急百貨店前のコンコースまでやってきたのですが
以前よりもコンコースは広くなったような気がいたします。
なにやら空間的な奥行きが広がり
開放感を感じるような建築デザインになっておりまして
これは阪急百貨店の店舗内についても同様でございます。



街の中に百貨店の建物があるというよりかは
百貨店の中に街がある、という感覚でございまして
特にそれは9階から12階の吹き抜けとなっている部分において
顕著でございました。
店内ギャラリーでは、ガラス工芸作家による作品の展示がおこなわれ
緑豊かな公園を思わせる13階の屋上広場では
年のころは小学生ぐらいと思われる子供たちが
ダンスパフォーマンスを演じておりました。



数年前、この阪急百貨店がリニューアルオープンのために
全面的な改装工事に入ったと聞いたときは
何やらさびしい思いがいたしました。
さほど裕福ではないごく平凡な家庭の子供だった私にとって
ときたま親に連れて行ってもらった阪急百貨店はまさに別世界であり
どこかテーマパークのような趣さえございました。
当時の私は阪急百貨店といえば、このうめだ本店しか知らず
また百貨店といえば阪急百貨店しか知りませんでした。
そんな阪急百貨店が大規模な店舗改装をすると聞き
抗えない「 時の流れ 」というものを感じたのでございます。



エレベーターの昇降状態を示す
アナログ時計のような階数表示板に目を奪われ
何も買ってはもらえないと分かっていながらも
おもちゃ売り場で胸をときめかせ
硬いボール紙でできた大食堂の食券を握り締めながら
席取りにやきもきしたあの頃の思い出が
全面的な改装工事という大きな時のうねりによって
根こそぎ持っていかれるような気がしたのでございます。
しかし、こぎれいでおしゃれな感じに仕上がり
快適で心地よい空間が演出されている百貨店内の様子を見て
「 ま、これもアリかな 」という思いをいだきました。
かつて幼い私にとってテーマパークだった場所は
大人向けの癒しの里へと様変わりしていたのでございます。



とはいえ、私にとっては癒しの里であっても
今このときにここへやって来る子供たちにとっては
やはりここはテーマパークのように感じられるのかもしれません。
そしてその子たちが私と同じぐらいの年齢になったとき
再びここが全面的に改装されたら、彼らは今の私と同じように
ここを癒しの里だと感じるようになるのでございましょうか。



もっとも、その頃には墓の下にいるであろう私には
そんなことを知るスベなどあろうはずがございませんが.....






コメント

非公開コメント