2秒の法則




お目汚し、失礼いたします。



今月14日は体育の日ということで
ここ数日、運動会や体育祭をおこなっている学校をよく見かけます。
運動音痴の私には運動会についてはあまり良い思い出がございません。
仮にあるとするならば
小学校四年生のときにおこなわれた運動会のときでございます。



25m走だったか50m走だったかよく覚えていないのですが
とにかくいわゆる「 駆けっこ 」の競技でございました。
私は自分の番が来るまで
競争相手の生徒たちと一緒に学校のグラウンドで体育座りをしながら
他の生徒たちの競技を見ておりました。



校舎に設えたスピーカーからヘルマン・ネッケの楽曲
「 クシコス・ポスト 」が流れ
ピストルを構えた先生が発する「 よーい!」という力のこもった声と
ピストルの鋭い炸裂音が断続的に聞こえてまいります。
またビリになるのではないかとビビリながら
私はそれらの音を聞くとはなしに聞いていたのですが
やがて、先生の「 よーい!」という声とピストルの炸裂音との間に
ある一定の時間的間隔があることに、ふと気づきました。



それは私の時間的感覚で申せば、2秒の間隔でございました。
念のため、気づいてからも確認いたしましたが、やはり

 「 よーい!」 → 2秒 → パーン☆

でございます。そこで考えたのでございますが
「 よーい!」という声を聞いてから2秒後に走り出せば
他の競争相手よりもいち早くスタートできるのではないかと思い
私はそれを実行してみることにいたしました。



結果は見事成功でございます。
フライングすることもなく、タイミングよくスタートを切った私は
駆けっこでは常にドンケツか、ベッタから二番目のところを
そのときは一位でゴールしたのでございます。



これがきっかけで陸上競技に興味を持ち
中学校で陸上部に所属してクラブ活動に精進すれば
私は今とはもっと違う人生を歩んでいたかもしれません。
しかし私は
「 なんだ、駆けっこなんて楽勝じゃん。
要するにタイミング良くスタートを切ればいいだけなんだから 」
と高を括ってしまったのでございます。



そしてこの「 2秒の法則 」は
自分だけしか知らないノウハウだと思い込んでウハウハし
たとえて申すならそれは
憧れのアイドル歌手や美人女優の性感帯を見つけたような
ある種、秘めやかな喜びでございました。
私はこの「 2秒の法則 」を友人やクラスメートにも
決して喋ろうとはせず、自分の胸の内に仕舞っておいたのでございます。



しかしタイミング良くスタートを切るというのも
所詮は運動神経に依拠しているのでございますし
「 よーい!」と「 パーン☆ 」の時間的間隔は
ピストルを撃つ先生が変わることによって異なり
それぞれまちまちでございます。
そもそも、そのとき一位になったのは
たまたま偶然だった可能性もあるわけでございまして
それ以後、体育の授業や運動会などで
「 2秒の法則 」を使って短距離走に臨んだものの
やはり私が一位になることは二度とございませんでした。



「 2秒の法則 」を発見した秘めやかな喜びは
そのとき一度限りのものに終わりました。
せっかく法則を発見しても
運動音痴にはそれを活かすことができないのでございます。
そして余計なことではございますが
運動音痴であると同時にセックス音痴でもある私には
せっかく憧れのアイドル歌手や美人女優の性感帯を見つけたとしても
それを活かして相手をイカすことはできないのでございます.....






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