悪魔の顔




お目汚し、失礼いたします。



あっけない幕切れでございました。
ウイルスによるPCの遠隔操作事件で逮捕・起訴され
容疑内容を否認していたK容疑者が
一連の事件はすべて自分の仕業だと告白しております。



彼の公判中に真犯人と思しき人物からメールが発信され
事件はいっそう謎めいた展開を見せると思われた矢先
K容疑者が保釈中の身でありながら行方不明になってしまいました。



それから一夜明けた日の朝、K容疑者は弁護士事務所に姿を現し
遠隔操作事件も公判中に届いた真犯人を名乗るメールも
すべて自分の仕業であると告白したのでございます。
公判中にメールが届くというトリックを仕掛けるために
河川敷でその作業をおこなっているところを
不覚にも警察に目撃されており
もはやこれまでと観念したのかもしれません。



このK容疑者、かなり悪知恵に長けた男のようですが
リアルの画像では、冴えない三十路の毒男という印象がぬぐえません。
何やら黒い腕貫きを両の手に付けた
気の弱い村役場の職員といった風情でございます。



また彼は中学生の頃に悲惨ないじめを受けており
どちらかというといわゆる不幸な生い立ちを背負っている
弱者としての色合いが強ぅございます。
そういった体験が彼のその後の人生に暗い影を落としたのは
想像に難くないのですが、どんな理由があるにせよ
テロや無差別殺人の予告をおこなって世の中を騒がせ
無実の人間にその濡れ衣を着せるという
卑劣極まりないおこないが許されるわけではございません。



ある意味、非常に恐ろしい事件でございました。
慎重な捜査を怠り、誤認逮捕をおこなった司法機関は
その信頼を著しく損ないましたし
無実の人間を冤罪から救うはずの弁護士制度が
結局は胡散臭いものだという真実を露呈させてしまいました。
そしてなによりも、我々が当たり前のように使っている
インターネットという情報インフラが
我々自身の人生や日常に襲い掛かって破壊する
悪魔の杖として働いたのでございます。



そしてその杖を振っていたのは
悪魔とは程遠い、腕貫きの似合いそうな三十路男。
悪魔は天使以外に色々な顔を見せるものでございます.....






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