今様社会派




お目汚し、失礼いたします。



いわゆる社会派漫画なるものは
青年向け若しくは大人向けの漫画雑誌においては
よく見かけるようですが、少年向け漫画においてはどうなのでしょうか。
最近の少年漫画というと、私の脳内では
ファンタジーや不条理ギャグ、スポーツにグルメ、ミステリーといった
社会派なるものとはあまり縁のないジャンルの作品がひしめいている
というイメージがございます。



私どもが少年の頃は、社会派漫画は比較的多く見受けられました。
その中でとりわけ印象に残っているものがいくつかあるのですが
その一つに「 命売ります 」というタイトルのものがございました。
三島由紀夫氏が書いた同名の小説作品がございますが
私が読んだその漫画は、三島氏の作品とは何の関係もなさそうでした。



物語は、「 命売ります 」という看板を持って
繁華街に立っていた不良少年が
不思議な紳士に「 命を買って 」もらい
不発弾の処理をさせられた挙句に死にそうな体験をするものの
結局すべてはその紳士が仕組んだお芝居だった
というオチがついているものでした。



紳士は戦災孤児たちを引き取って育てている篤志家で
街で「 命売ります 」などと書いた看板を掲げている投げやりな少年を見て
彼を全うな人間にしようと一芝居打ったわけですが
年端もいかない少年に不発弾の処理をさせるというのが
今思えば、とても「 ありえねぇ 」という設定でございます。
まぁ当時の世相は「 戦後 」の影をまだ微かに引きずっており
不発弾の処理を10代の少年にさせるというのは
フィクションとしては「 有り 」だったのかもしれません。



今、少年漫画において、社会派漫画として同じような物語を描こうとしたら
不発弾の処理ではなく、大地震によってメルトダウンした原発の暴走を食い止める
という設定になりそうですが、そこはそれ、今どきの少年漫画でございます。
すべては謎めいた紳士が仕組んだお芝居だったというオチではなく
超能力や魔法、あるいは不条理なギャグによって
本当にメルトダウンを止めてしまうという結末になるかもしれません.....






コメント

非公開コメント