ツバの時代




お目汚し、失礼いたします。



以前は、お札を数えるときに
指にツバを付ける人をよく見かけたものでございます。
不潔恐怖症の私には理解できない行為でございまして
そういうことは自分がするのも他人がするのもイヤでございました。



20年ほど前ですが、私が文房具店で買い物をしたときのことでございます。
一万円札で支払いをしておつりをもらう際に
店主の老人がヨダレと言ってもいいほどの大量のツバを付けて
紙幣を数えていたことがございました。



渡された数枚の千円札には変質者がイタズラをしたかのように
大きな唾液のシミが付いており
気持ち悪くてしょうがなかったのですが
さりとて突っ返すこともできず、そのまま財布に入れました。



今ではそういう行為を見かけることはほとんどございません。
今もやっている人はおられるのかもしれませんが
少なくとも私の身近なところでは見かけないのでございます。
しかし私が小学生の頃には自分の親はもちろん
隣近所のオッチャン、オバチャン、八百屋の大将
学校の先生、市役所職員、セールスマンなど
ごく当たり前のようにやっていた記憶がございます。



今の世の中、抗菌グッズや使い捨ての衛生用品が大量に出回り
食品を扱う企業は異物混入や衛生環境に激しく神経を尖らせ
公共のトイレには手を触れずに水が出る自動水栓が並んでおります。
そういった世の流れが、指にツバを付ける行為を
押し流してしまったのでございましょう。



不潔恐怖症の私としては
自分の意向に沿った形で世の中が動いているようで
満足といえば満足なのですが
なにやら私の記憶の中にある庶民的な日常が
遠くへ消え去っていくように思われて
寂しく感じることもございます。
まぁ身勝手といえば身勝手なのですが。



身勝手ついでに贅沢を言わせてもらえるならば
綺麗なオネーチャンやエロい熟女には
以前のようにツバを付けてお札を数えてもらいたい。
できればお札同士が引っ付くぐらいタップリと、でございます。
そういうおつりなら私、喜んで受けとるのですが.....






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