幻の朝靄




お目汚し、失礼いたします。



18年前のゴールデンウイークのことでございました。
福島県へ自家用車で観光旅行に出かけました。
どの観光地を訪れたかははっきりとは覚えておりませんが
猪苗代湖にあるガラス工芸品を展示してある大きな施設へ行き
おびただしい数のガラス工芸品を拝見いたしました。
また、どこかの駅前のお寿司屋さんで
伊勢海老の入っている味噌汁をいただいたのを覚えております。
唐辛子が隠し味になっている美味しい味噌汁でございました。



その翌日か前日かは判然といたしませんが
見渡す限りの田畑が広がる福島県内の盆地のようなところを
クルマで走った記憶がございます。
朝早くだったせいでしょうか、周囲を山に囲まれたその場所には
濃い朝靄が大地を覆い尽くすように広がっておりました。



なぜか靄が立ち込めるということも無く
視界をさえぎるということが一切ございません。
まるで大空に浮かんだ真っ白い雲の上を滑っていくような
幻想的で美しい光景でございます。
車を止めてゆっくりと眺めてみたかったのですが
先を急いでいたためそれはできませんでした。



あの幻想的で美しい光景をもう一度見てみたいものでございますが
あれから20年近くが経ち、私の身辺も色々と変化がございました。
気軽にクルマでぶらっと旅することが出来るほどの
時間的・金銭的・精神的余裕が、今はございません。
そして何よりも、4年前の震災が福島県を
大きく傷付けてしまったという現実がございます。



大地震による自然環境の変化によって
もうあの朝靄は見ることができないかもしれません。
しかしもし私がまた福島に行くことができるようになったならば
何か別の不思議な美しい光景を目にすることができるのではないか
そんなことを期待して、日々暮らしている次第でございます.....






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