全開の傘




お目汚し、失礼いたします。



去年は梅雨明けが7月の半ば過ぎでしたが
気象庁の予報によれば、今年も長梅雨となるようでございます。
それでも今日、私どもの地元では昼から雨も上がり
本格的な夏の到来を予感させるような晴れ間が見えておりました。



小学生の頃、柄の先が赤くて丸い玉になっている女の子用の傘を
男の子が差して学校へ行くという物語を読みました。
国語の教科書に載っていた物語でございまして
男の子は自分の傘が壊れていたために
姉が予備に持っていたその傘を差して学校へ行かなければならなくなり
恥ずかしさと不機嫌さから俯きかげんで登校しておりました。



登校中、男の子はやはり一目見て女物とわかる傘を差して
俯きかげんで登校する同級生の男の子を見かけます。
訊けば、彼もまた自分の傘が使えなかったために
母親か妹の傘を借りて差しているとのこと。
二人の男の子はお互いに何やら意気投合して友だちになり
その日は下校する時も、いっしょに帰ることになりました。



あれほど恥ずかしかった傘が、そのときはもう何とも思いません。
雨も上がり、さんさんと太陽が降り注ぐ中
二人の男の子は全開にした傘を差しながら、得意げに下校する.....
うろ覚えですが、そのような話でございました。



人間というもの、ときおり自分自身に不安を感じることがございます。
自分の信念や感じかた、人生観・世界観、主義主張・趣味趣向が
著しく他者と異なるとき、果たして自分は人間として存在して良いものなのか
そんな心細い思いに囚われることもありましょう。



一応、私も人間でございますので、そのような不安に囚われた時期もございました。
しかし、インターネットというメディアと出会い、その匿名性を基本とする社会において
この世の中には様々な考え方があるのだ、色々な人間がいるのだということを知り
また、こういう好事家がいる、こんな変態もいるというふうに
私と共通点のある人間が大勢いることを知ったのでございます。



これは私にとっては、ホッとすると同時に大きな喜びでもありました。
何かとネガティブな側面がクローズアップされがちなネット社会ですが
少なくとも私に限って申すなら
そのネット社会に「 救われた 」という気がしたのでございます。



それはあたかも、雨上がりの空の下
全開にした社会の窓から金玉だけ剥き出して威風堂々と練り歩くような
ハレバレとした気分でございました.....






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