京風の味




お目汚し、失礼いたします。



吉本新喜劇の役者として活躍していた花紀京氏が今月5日亡くなられました。
享年78歳。御存知のかたもおられるかもしれませんが
花紀さんは日本における漫才の基本形を作ったといわれる漫才コンビ
横山エンタツ・花菱アチャコのお二人のうちの
横山エンタツ氏の御子息でございます。
しかし私が知っている花紀さんは
吉本新喜劇でいつも飄々としてとぼけたキャラを演じ
絶妙な間の取り方で人を笑わせるのがお得意な役者でございました。



ところで、こういった訃報の場合に限らず
関西在住、あるいは関西出身のタレント・芸人・文化人などが
何らかの形で吉本新喜劇に関するコメントを発するとき
ほとんどの場合、枕詞のように

「 子供のころは土曜日が半ドンで、学校から帰ると
 昼ごはんを食べながらテレビで吉本新喜劇を見るのが習慣になっていた 」

という余談がくっ付いてきます。



私も大阪府内で生まれ育ち、土曜の昼は吉本新喜劇を見ながら
コロッケをオカズに昼飯を食べていた子供だったのですが
そのころ私の地元では土曜の昼、吉本新喜劇以外に
藤山寛美氏が主役を務める松竹新喜劇がテレビで流れておりました。
藤山寛美氏の芸は、当時の私が見た印象では
間合いやボケを生かす芸という感じでございまして
私にとって松竹新喜劇は、どちらかと言えば
大人向けの喜劇というイメージがございました。



子供だった私が、間合いやボケを生かす大人向けの喜劇よりも
下ネタあり、不条理あり、立ち回りありといった
何でもアリで無理やりにでも観客や視聴者を笑わせようという
力技とスピード感に満ちた吉本新喜劇の方に惹かれていたのは
なにぶん、いたしかたないところでございました。
そして、そんな吉本新喜劇の中にありながら
間合いやボケで笑わせる花紀京氏の芸には独特の味がございました。



どちらかと言えばコッテリした大阪風の味付けの吉本新喜劇において
アッサリしていながら思わず笑ってしまう花紀京氏の演技は
何やら京都風の味がする異色の芸でございました。
それは今思えば、吉本新喜劇を見ながら
裏番組の松竹新喜劇も同時に見ているような
不思議な体験だったような気がいたします。



ともあれ、私のようなオッサン世代にとって馴染み深い喜劇役者が
またお一人、お亡くなりになったわけでございまして、実に残念でございます。
慎んで御冥福をお祈りいたします。






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