科学的観点




お目汚し、失礼いたします。



先週のことでございますが、ちょいと妙なことがございました。
私の店の事務所にお客様をお招きしてお話をしていたのですが
商談がまとまりかけ、あと一歩で成約という段になって
急に用事を思い出したとお客様がおっしゃられまして
そのままそそくさと立ち上がり、私の店を飛び出して行かれたのでございます。



何か私が失礼なことを申し上げて気分を害されたのかと思案いたしましたが
思い当たるようなことはございません。
商談は順調で、提示した取引内容もお値段も
特に不満は持たれていないようでしたので、何やらあっ気にとられてしまいました。
これはいったいどうしたことでございましょう。



首をひねっているうちに、或る都市伝説のことがふと頭に浮かびました。
登場人物や状況に色々とバリエーションはあるようですが
夜、自宅で女性が友人と二人でくつろいでいると
突然友人がラーメンを食べに行こうと言い出す。
気乗りしない女性はしぶしぶ友人とともに外に出るが
途端に友人は女性の手を引っ張って全速力で走り出す。
何が何だかわからない女性に友人はこう申すのでございます。



「 あたし、見たのよ。ベッドの下の隙間に、大きな鎌を持った男が隠れてるのを!」



いわゆる「 鎌男 」の都市伝説でございます。
あのお客様は、私の事務所のどこかに
鎌男が隠れているのを見つけたのでございましょう。
そんなことはあるまいと思いながらも
事務所の中を多少ビビりながら私は調べてみました。
応接机の下や事務机の下を見て回りましたが
鎌男はもちろん、オカマもカマキリも見かけません。



ただ、ゴキブリが一匹、ゴミ入れの向こうから
アタフタと逃げて行っただけでございます。
しかしこれで十分でございましょう。
お客様は男性でしたが、ゴキブリ嫌いは女性に限ったことではございません。
商談のおり、事務所内のどこかを動き回るゴキブリの姿を
お客様が御覧になったのでございましょう。



事務所はきれいに掃除してあったのでございますが
その生命体としての歴史が人類よりも古く
核戦争後も生き延びるであろうといわれている強靭な生き物には、どこ吹く風。
契約を勝ち取るためのノウハウを綴ったビジネス本を書店でよく見かけますが
ゴキブリの生態の研究について綴った科学の本も
ビジネスの場においては必要ではないか。
経済学的見地だけでなく、科学的観点から見た現象も
ビジネスの成功を左右する重要なファクターではないか。
そんな風に感じた次第でございます.....






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