ビター・テイスト




お目汚し、失礼いたします。



昨日の日曜日、市街地にある某スーパーマーケットへ買い物に行っておりました。
そのスーパーの来客用駐車場に車を停め、店の玄関から中に入ろうとしたところ
玄関脇に小学校低学年ぐらいの男の子が板チョコを持って
ぽつんと立っているのを見かけました。



明日はバレンタインデーでございます。
男の子が持っていた板チョコは、恐らく親からのプレゼントなのでしょう。
後生大事に板チョコを抱えている男の子の姿は微笑ましく
同時になんとなく違和感を覚える光景でございました。
小学校低学年であれば、アニメやゲームのキャラクターをデザインしたものや
遊び心を感じさせる食玩のようなチョコレートを欲しがるものでございましょう。
それなのに男の子が持っていたのは付加価値の少ない
ごく普通の板チョコだったのでございます。
ディスカウントストアなら100円でお釣りが来るようなチョコレートでございました。



板チョコを抱えて、小さな男の子がスーパーマーケットの玄関脇に
一人で立っているというのも、何やら違和感があり
また危なっかしい光景でもありました。
親はスーパーの中で買い物をしているのでございましょう。
無用心だなと思いつつ、そばにずっとついていてやるのも逆に不審者扱いされそうで
後ろ髪を引かれるような思いとともに、私は仕方なく玄関をくぐりました。



北風よりも冷たい不景気風が吹き荒れる今日このごろ、その男の子は親から
「 これにしろ 」と板チョコ押し付けられたのでしょうか。
あるいはそんな親の意図を汲んで男の子自らが
「 これにする 」と言って板チョコを選んだのでしょうか。
いや、むしろ頑是無い子供の無邪気さが生み出す不思議な感性に導かれ
ただ単に包装のデザインや色がなんとなく好きだったので
「 これがいい 」と言ってその板チョコを選んだにすぎないという可能性もございます。
または、その板チョコを使って男の子の母親がバレンタインデー用の
手作りチョコレートをこしらえることになっていたのかもしれません。



私がスーパーマーケットから出て来た時、男の子の姿はありませんでした。
彼が板チョコを持っていた本当の事情は、赤の他人の私には知る由もございませんし
私の個人的な妄想で、彼の身の上をああだこうだと推測するのは
愚かでイタイタシイことではございましょうが
なんとなくあの男の子が寂しそうな表情を浮かべていたような気がして
買い物を終えて帰宅した後、しばらく憂鬱な気分でした。



苦いチョコレートを食べたような気分でございました。
苦くて不味くて、後味の悪いチョコレートでございました.....





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