寒い旅立ち




お目汚し、失礼いたします。



昨日、新年度のスタートとともに
多くの若者が企業や官公庁で社会人としての第一歩を踏み出しました。
そんな新社会人たちにインタビューをおこなった映像がテレビで流れておりましたが
どのニーチャン、ネーチャンも会社をもっと大きくしてやるとか
社会に貢献するような仕事をしたいとか
そういった類の優等生的な模範解答に終始しております。
これから社会人として会社や役所で働こうとする人間がテレビカメラの前で
そういった発言をせざるを得ないというのは
当たり前と言っちゃ当たり前なのでございますが
ちょっとかわいそうだなという印象を受けました。



これがバブル真っ只中の頃だったならば
もう少しはじけた発言なども飛び出したことでございましょう。
入社したばかりの会社に対する思わぬ本音がこぼれ出たりすることも
あったかもしれません。どこかの国の宰相のように
「 この会社をぶっ潰す!」などと息巻く輩もいたことでしょう。
しかし今はそんな時代ではございません。
息を潜め、ただひたすら自分を殺して周囲の景色と同化する
カメレオンのような行動原理が今の新社会人には要求されるのでございます。



そして早晩、彼らはナマの社会における現実とマニュアルのギャップに呻き苦しみ
カメレオンで居続けることに困難を覚えることになりましょう。
やがて一週間も経たないうちに勤め先を辞めたり、ハゲしく欝になったり
でかい面をしたエラソーな客を殴ったり、電車で痴漢行為をおこなったり
勤め先に対してセクハラやパワハラの廉で
謝罪と賠償を要求したりするようになるのでございます。
それゆえ、テレビ画面を通して見る新社会人たちの清々しい言動に対して
私は手放しで賞賛し、祝福し、晴れやかな気持ちになるということができません。



私もかつては新社会人でございました。
しかしテレビでインタビューに答えている若者のように
前向きで高邁な夢に顔を輝かせてはおりませんでしたし
また現にそんな夢など持ち合わせていませんでした。
仮にインタビューのマイクを向けられても「 ノー・オメンコ..... 」と言って
逃げ出していたに違いありません。



実際のところ、腹の底から希望に満ち満ちて勤労意欲満々だという新社会人など
ほんの一握りでございましょう。
大半は、不安と恐怖に戦いているはずでございます。
しかも若者たちのそういったネガティブな気持ちを払拭させるには
今この国が抱えている現状はあまりにもお寒い限りなのでございます.....






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