愚かな冒険




お目汚し、失礼いたします。



もう10年以上も前のゴールデンウィークだったかと存じます。
当時40代半ばだった私、大阪は北摂地域に位置する
とある山へ一人で山歩きに行ったことがございました。
それほど標高が高いわけでもなく、また奥深い山でもありません。
ハイキングコースのようなものがあり
そこを歩いていれば別段、何の危険も無いところでございます。



しかしその日の私、ちょっと冒険がしてみたくなり
ハイキングコースから外れた草木の生い茂るところへ入って行きました。
入ってすぐのあたりにちょっとした広場のような場所があり
そこで腰を下ろすと持参したコンビニ弁当を食べて昼食を済ませました。
一休みしてから100メートルほど歩き、さて引き返そうかと振り返ってみると
まだハイキングコースが見えております。
じゃあもう少し奥に行ってみようと更に100メートルほど行って振り返ると、まだ見えます。
じゃあもう少しという具合に歩き続け
ふと振り返るとハイキングコースはどこにも見えません。



あわてて引き返すことにしたのですが
そのときにはもはや自分とハイキングコースとの位置関係が全くわからなくなっており
歩き続けたせいで流れた汗とは違う、イヤ〜な汗が身体のどこかから滲み出ておりました。
方向音痴だということを忘れ
「 ちょっと冒険が… 」などと無謀なことを考えた自分を責めながら
金太郎飴のように繰り返される木々や山肌に覆われた風景の中をさ迷い歩きました。



山で道に迷ったときは、下に下りようとせず
上に向かって登った方がいいという話を聞いたことがございます。
そうすれば見晴らしの良い場所に出て自分の位置を確認することができるからなのですが
そのセオリーにしたがって上へ向かって登っていったものの
なかなか見晴らしの良い場所には出られません。
ときおりそのような場所に出ることがございましたが
見えるのは同じように草木に覆われた尾根や谷ばかりで
ハイキングコースや人家の類は皆無でございます。



さほど大きな山ではないせいか、他の登山客やハイカーに出会うことが無く
道案内や助けを求めることができません。
時刻は午後3時過ぎ、道に迷ってからすでに2時間近くは経過しており
まったくシャレにならない状況に陥った私、ほとんどパニック状態になっておりました。
いや、ハイキングコースを見失ったときから
もうすでにパニック状態になって正常な判断力や思考能力が崩壊していたのかもしれません。



このままいつまでも下界に下りることができないでいることよりも
自分が山で遭難したことがニュースとなって大騒ぎになることの方が恐ろしゅうございました。
さ迷っている間に、ときおり頭を過ぎっていたその懸念がにわかに現実味を帯びてきて
私のパニック状態はさらにひどくなりました.....



恐れ入りますが、この続きは次回更新「 仙人の夢 」にて.....



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