ハエ取り紙の距離




お目汚し、失礼いたします。



2、3年前の夏、広島県にある親戚の家へ行った時のことでございます。
トイレにハエ取り紙がぶら下がっておりました。
ハエ取り紙とは黄色い粘着テープのようなもので
飛んでいるハエがそのテープにくっ付いて動けなくなるという仕掛けの
害虫駆除用具でございます。
画像検索をすればどのようなものか一目瞭然なのでございますが
見た目がちょっとアレなので「 閲覧注意 」でございます。



で、その親戚の家のトイレで用を足すとき
ハエがくっ付いているテープの部分に、危うく私の頭が触れてしまうところでした。
こういうハエ取り紙は私、幼少の頃から見慣れておりまして
主に夏休みに両親の実家へ遊びに行ったときなどに
トイレはもちろん、台所にもぶら下がっているのをよく見かけました。
ところが不思議と当時は、汚いとか気持ち悪いとかいった印象はなく
地方や田舎の家では当たり前の光景だと感じておりました。



しかし今思えば、子供だったその頃は私の背も低いため、テープが頭にくっ付くこともなく
そんな心配をする必要も無かったゆえ、気にも留めていなかったのかもしれません。
不潔でグロいものは自分の手の届かないところにある。
そこに自分の身体が触れて汚れてしまう事はない……
そんな根拠のない夢のような理屈に幼い頭を委ねてしまっていたのでしょう。
しかし時は流れて夢は覚め、いつからか自分もそんな汚くて異様なものに手を触れ
足を踏み入れることが多くなってしまいました。



背が伸びるにしたがってハエ取り紙は近くなり
好むと好まざるとに関わらず身体が触れてしまうものでございまして
それが「 大人になる 」ということでございましょう。
小学生の頃、友達相手に「 百万円もらったらハエ取り紙を握れるか 」という
無毛な論争を繰り広げたことがございました。
もちろん、握るのはハエがブツブツとくっ付いているテープの部分でございまして
結局、「 一千万億円 」もらったら握れるという結論に落ち着いたのでございますが
所詮子供の戯言でございます。



大人は必要とあらば、どんな場合でもハエ取り紙を握ってしまうのでございます。
一千万億円のため、妻のため、子供のため、女のため、オトコのため
イデオロギーのため、国家のため、人類のため、世界平和のため、ハエ取り紙を握ってしまう。
それが大人というものなのでございます.....




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