皮肉な話






お目汚し、失礼いたします。



私が会社勤めをしていた頃で、新入社員だった当時のことですが
3ヶ月ほどのあいだ、行動をともにしていた上司がおりました。
口数が少なくそれでいて皮肉屋で、常に私のことを小馬鹿にしているところがあり
正直なところ苦手な相手でした。



営業車でいっしょに得意先や仕入先を回ったりすることもあったのですが
私のことをほとんど信用しておらず
上司だというのに車のハンドルは必ず自分が握り、私は常に助手席でございました。
そしてときおり運転をしながら私の至らない点を指摘いたしまして
それがいちいち的を得ていて耳に痛くてしょうがありません。



そんなある日のことでございます。
商品についての納期遅れのクレームの電話がございまして、お客様はかなり御立腹。
担当だった私は、歯に衣着せぬ言葉で言いたい放題言われながら対応いたしまして
どうにかカタはついたのですが
電話の受話器を下ろしたときには身も心もヘトヘトの状態でございました。



例の上司に事のいきさつを報告しなければならず
納期遅れを招いた私の責任を追及するとか、その対応の仕方は何だと指摘するとかいった
手厳しい叱責があるかもと覚悟して話しましたところ
その上司、私の報告に対して一切さようなことは言わず、ただ

 「 客は正直だな 」

と申しただけ。
しかし皮肉屋としての本領を発揮したかのようなそのセリフが
かえってグサリと私の胸に突き刺さり、ひどく落ち込んでしまいました。



こういうとき、ガッツのある熱血社員なら
ようし、今に見ていろ。きっとあの上司の鼻を明かしてやる。
いや、鼻フックをかけてボールギャグを噛ませ、ケツを掘ってやる。
そして「 身体は正直だな 」と皮肉たっぷりに言ってやる……
という具合に一念勃起するのでしょうが
残念ながら私はそんな打たれ強い人間ではございませんでした。



今でもその時の悔しさは忘れておりません。
しかし逆に申せばそれだけあのときの皮肉なセリフが効いているということであり
それだけあの上司が一筋縄ではいかない不敵な人間だということを認めることになり
皮肉な話、なおさら悔しさが募る次第でございます.....





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