気後れ 【 2/2 】






お目汚し、失礼いたします。



通勤途上にある本屋でAVを買うようになってから半年ほど過ぎた頃でしょうか。
ある日、いつものようにその本屋に入ってビデオのコーナーに行こうとした私は
店番が奥さんの方だということに気づきました。
旦那のときは気にせずに買えるのですが
奥さんが店番のときはさすがに恥ずかしく、買うのを見送るようにしていましたので
その日もビデオはあきらめて立ち読みでもして帰るかと書籍のコーナーへ戻りました。



しばらく立ち読みをした後、ふと見ると店番が奥さんではなく旦那に入れ替わっております。
このときは何も感じませんでしたが
それ以降、店番が奥さんだったときは必ずあとで旦那が交代するということが続きました。
最初は偶然かと思っていたのですが
私が顔を見せるや否や即座に旦那と交代することもあり
これは意図的なものだなと察しました。



その頃には私、なかばその本屋の常連みたいなものになっておりましたので
旦那も奥さんも私の気弱な性格を斟酌してくれていたのかもしれませんが
以前はそのようなことが一度も無かったので、やや奇妙な感じがいたしました。
しかも奇妙なことはさらに続いたのでございます。
その後、本屋の一角を占めていたビデオのコーナーの品数がだんだんと増えていき
それに応じて書籍を陳列するスペースが減ってまいりました。
そしてビデオのジャンルも、超大作映画やVシネマよりもR18作品の割合が大きくなり
アレヨアレヨという間にそればっかりになってしまったのでございます。



きっと書籍の売り上げが悪いので主力商品をアダルトビデオに変え
そういった購買層向けに商売をするつもりなのだなと
私はその本屋の経営方針を忖度したのですが
これはいったいどうしたことでございましょう。
陳列されている商品のタイトルをよく見ると
「 緊縛 」「 縄 」「 責め 」「 奴隷 」「 浣腸 」といったワードが並んでおりまして
商品構成が私向けに特化されているじゃあ~りませんか。



その本屋の経営者夫婦とは私、全くといっていいほど口を利いたことがございません。
ビデオを買うときはもちろん、普通の書籍を買うときでさえ
極力言葉を交わさないようにしておりました。
それゆえ、あの御夫婦の真意をうかがい知ることはできませんが
本屋の店内で私以外の客の姿を見かけたことはほとんど無かったので
ひょっとすると私一人だけをターゲットにして経営方針を転換していったのかもしれません。



しかしそうなると嬉しさよりも戸惑いの方が勝ってしまい、何となく気後れがいたします。
それにいかに私が自家発電に熱を上げているといっても
24時間フル稼動ではございません。
そもそもその本屋に並んでいた1000本は優にあると思われるおびただしい数のビデオを
片端から買い漁る経済的余裕など私にあるわけもございません。
そのためいつしかその本屋から足が遠のくようになってしまい
気がつけばすっかり寄り付かなくなっておりました.....



それからもうかれこれ20年ほどになりますが、その本屋がどうなったか定かではございません。
私が寄り付かなくなったので、元の普通の書店に戻っているかもしれませんが
むしろ逆に今では本格的なアダルトショップに衣替えをしているかもしれません。
だとすれば一度、行ってみたいような気もいたしますが
もしかすると依然として私向けに特化された商品構成となっていて
バイブホルダーや九尾鞭、アナルプラグに全頭マスクといった品々ばかりが陳列されていたらと思うと
やはり気後れがして足が遠のいてしまいます.....





                                       プロフィール画像2015圧縮前→fg→圧縮→jpg→FC2画像圧縮20150929

コメント

非公開コメント