カエル取りがカエルになる 【 3/3 】






お目汚し、失礼いたします。



前回の記事の続きでございます。
他人の家の庭に入って無断でカエルを獲ってくる.....
今から考えるととんでもない無謀な行為でございます。
さっさと一人で屋敷の門の中に入って行ったY君のことが気になりましたが
ノコノコと彼の後を追って中に入っていった場合のことを考えると
底知れない恐怖が湧き上がってまいりました。
屋敷の主のおじさんが鬼のような形相で私たちに襲いかかり
二人とも捕まって学校や警察に突き出されるのではないか。
いや、それだけならまだしも、捕まってしまった自分もY君も
一生この屋敷から出してもらえなくなるのではないか。



そう考えると、今すぐにでもその場を逃げ出したくなりました。
しかし中に入っていったY君を見捨てるのも気が咎めます。
どうしようかと門の脇で立ち尽くしていると、不意に屋敷の方から老人の怒声のようなものが聞こえ
バッティングセンターのボールのように突如としてY君が屋敷の門から飛び出してまいりました。
水槽も金魚網も持っておりません。
それを見て私も水を得た魚のようにその場から一目散で逃げ出しました。



あとでY君に話を聞いたところ、屋敷の庭に入り、池を見つけてそこへ近寄ろうとしたら
長い棒のようなものを持ったおじいさんが現れて何か叫びながらこちらに向かってきたので
死に物狂いで逃げ出したとの事。水槽も金魚網もその場に放り出してきたそうでございます。
しかしまぁ、捕まって学校や警察に連れて行かれ、先生や警官に鬼のような形相で怒られるとか
そして何よりも、あの屋敷の中で監禁されるとかいうようなことが無かったのは幸いでございました.....



半世紀も前の記憶なので、若干事実との齟齬があるかもしれません。
しかし私の中ではこれはちょっとした原体験となっておりまして
トラブルの予見や危険の察知に関しては他人よりもいくらか敏感になりましたし
また、過ぎてしまえば今ではイイ思い出でございまして
あの屋敷の主がどんな人だったのか興味さえ湧いている始末でございます。



いったいどのような御仁だったのでございましょう。
Y君が見た屋敷の主と思しき老人が
子供を監禁するような暴挙に出る異常者だったとは思えませんが
もし仮にそうだったとして、Y君や私があの主に捕まっていたら
今ごろ二人とも人生が全く違ったものになっていたでしょう。
たぶん捕らえられたカエルのごとく水槽のような座敷牢に閉じ込められ、餌を食わされ泳がされ
あの老人によって性奴隷も同然の扱いを受けていたかもしれません。



そう思うと、あの屋敷の主のことが無性に知りたくなりました。
もう私も50代なかばの立派なオトナでございますし
この先、劇的に人生が好転するとは思えないくたびれた中年男ですので
一度、性奴隷になった気分を味わってみるのも一興でございます。
とっくに屋敷の主の老人は亡くなり、屋敷自体も無くなっているかもしれませんが
ヒマなときにでも記憶を頼りに、あの屋敷を探してみることにいたしましょう。
蓋付きの水槽と大きめの金魚網を持って.....




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