立つ鳥あとをつけられ






お目汚し、失礼いたします。



詰めが甘いなと思いました。
秘書に対するパワハラスキャンダルで有名になった元自民党議員
豊田真由子氏のことでございます。
さきごろおこなわれた東京都議選において
このスキャンダルが自民党議員の足を引っ張る一因となったことは否めないでしょう。
すでに本人は同党を離党しておりますが、事が起きてから責任を取るよりも
事を起こさないことが肝要なのは申すまでもございません。



スキャンダルを暴露した秘書は
先月18日に豊田真由子議員の事務所を退職したそうでございます。
そのとき秘書がどのような退職理由を申したのかは存じませんが
この一件を週刊誌に告発することを隠していたのではないでしょうか。
しかし仮にそうだったとしても
もし言葉の端々や普段の行動から今回のことを企んでいるようなフシが感じられたのなら
豊田議員としては事前に手を打っておくべきだったでしょうし
そのようなフシが感じられなかったとしても
念には念を入れて秘書の腹の底を探っておくべきでございました。
ここに彼女の詰めの甘さがございます。



もう遠い昔のことでございますが、まだ私が20代のころ
社会人として初めて勤めた会社を、一身上の理由から辞めることになりました。
私が会社を辞めるということで、退職間近の週末に
上司や同僚の皆さん方でお別れ会をしていただいたのですが
そのときのことでございます。
型どおりのお別れ会がささやかながら開かれたあと、二次会、三次会と流れていき
徐々にその人数は減っていきました。
やがて飲み会は深夜に及び、終電車も無くなってしまいまして
そのとき、私といっしょにいたのは一人だけ。
しかもそれは同じ部署の先輩や同僚ではなく、なぜか総務部の係長だったのでございます。



この係長、年齢が50代前半の男性で会社の人事担当者だったのでございますが
最初のお別れ会のときからなぜか宴に参加しておりまして
あとから思えば何となく不自然だったのでございますが
当時はまだ若くて青臭いところが抜けきれていなかった私
自分のような者のお別れ会に総務部の係長まで出席してくださっている
何と光栄なことなんだと、妙に感激しておりました。



で、その係長に私、終電車が無くなったのでタクシーでも拾いましょうかと申しましたが
どうせ明日は休みだから、今夜はどこかで一泊してから始発電車に乗ることにしよう
どこか泊まる所を探そうじゃないかと
係長は半ば強引に私を連れて夜の街を歩き回っておりました。
ところがカプセルホテルやビジネスホテルの類はどこも満杯でございまして
あっちこっち探し回った挙句、空いているのはラブホテルしかございません。
そこでやむをえずラブホテルに一夜の宿を求めることにいたしましたが
このときになって私、酔いが醒めたこともあり
同じ部署の人間ではなく、総務部の係長が、それも人事担当者が
私といっしょにいるということに違和感を覚え始めました。



やがて私は思ったのでございます。
もしかするとこの係長、会社を辞めていく私の本音を探ろうとしているのではないか?
私が会社に対して何かネガティブな感情を抱いていて
それが会社を辞める本当の理由だろうと疑っているのではないか?
そして私がその意趣返しのために、何かとんでもないことを企んでいるのだと
危ぶんでいるのではないか?
人事を与る役職にある人間として、そういったことを確認するために
わざわざこんな夜中まで私と付き合っているのではないか?



確かにその会社に対してまったく不満が無かったと言えばウソになります。
しかし私が辞めることを決めたのはあくまでもこちらのプライベートな事情でしたし
意趣返しという大それたことなど、これっぽっちも考えてはおりませんでした。
とはいえ、もしそんな懸念をその係長が抱いているのだとしたら
それを払拭してやるのも辞めていく者の務めかと思い
私はラブホに入ってからその辺のことを丁寧に説明しようかと思いました。



しかしいざラブホに入り、ピンク色の内装が施された
コミカルでキュートなデザインの部屋のベッドに係長とともに腰を落ち着けたとき
突如として、ある疑念とともに恐怖が湧き上がってまいりました。
ひょっとするとこの係長、私のことを危険人物とみなし
私がエキセントリックな行動に出ないように口止めをするため
最初からラブホへ連れ込むつもりだったのではないか
という疑念が湧き上がってきたのでございます。
そして口止めというのは、無理やり私のケツを掘って肉体関係を持ち
それをネタに脅しをかけて私の過激な行動を抑え付けるということでございます。



しかしこの係長、元々社内ではオカマではないかと言われているほど
言葉使いや物腰、身体つきがナヨナヨしており
万が一、抵抗や格闘をするハメになったとしても
私のような非力な男でさえ叩きのめすことができそうな相手でございます。
もっとも、人は見かけによらないものでございまして
実際のところ何か武術の心得があるのかもしれませんから油断は禁物でしたが。



さてどうしたものか。一刻も早く逃げ出そうか、もう少し様子を見ようかと思案していたところ
係長は「 あ~ぁ飲みすぎたわぁ。寝よっ 」と言いながら、突然ベッドに横になると
目をつぶってしまいました。
襲い掛かってくる様子が無いため、どうやら私の考えすぎだったのかと思いましたが
うがった見方をすればこの係長、ラブホのベッドで無防備な姿をさらすことによって
私を誘惑しているのかもしれません。
そして私と肉体関係を持つことによって、私を懐柔しようとしているのだとも考えられます。



私にフケ専の趣味は無かったのですが
まるでヤッてくれ、掘ってくれ、ハメてくれと言わんばかりの
だらしない格好で寝そべっている係長をみているうちに私
これも何かの巡り合わせだから一発ぐらいは掘ってあげてもいいんじゃないか
そうすれば係長を安心させてやれるんじゃないかと思い始めたのでございますが
そうこうするうちに係長がバネ仕掛けのように突然起き上がり
「 やっぱりタクシー拾って帰るわ 」と言うと「 じゃあ、●●くん。元気でな 」と
素っ気無い別れの言葉を述べ、一人で部屋を出て行ったのでございます。



何やら拍子抜けしてしまったのでございますが
まぁ面倒なことにならなかったので良かったと思った私は
それからしばらくベッドに身を横たえて眠ったあと、料金を払ってラブホを出た次第。
あの総務部の係長がなぜ私と深夜まで行動を共にしたのか
今もって不明なのですが
やはり会社を辞めるに至った私の真意を確認したかったのだろうと存じます。



この係長のように、豊田議員も秘書が辞める際にその真意を
何らかの方法で確認しておくべきでございました。
場合によっては自らによる色仕掛けも必要でございましょう。
しかし彼女のあの性格では、恐らく色仕掛けといってもかなり特殊でハードなプレイとなり
ことによると秘書は命の危険にさらされ
結果的に真実は闇から闇へと葬り去られていたかもしれません.....





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