街角の羊




お目汚し、失礼いたします。



先人たちは何気ない路傍の花に目を留め
詩歌を詠んだりしたものでございますが
私のようにコンクリートジャングルに覆われた都会に住む人間には
そのような風雅なおこないは縁の無いものと言えましょう。
その代わり、遊び心や諧謔心に富んだものを見て楽しめる場合がございます。



一週間ほど前、お得意様の会社を訪問しての帰り道
近辺の駅前を歩いておりましたら
ビルの壁際に何やら縫いぐるみらしき物が置かれてあるのを目にいたしました。
よく見ると羊の縫いぐるみでございます。
羊の縫いぐるみの下には、大きな枕が置いてあり
羊はちょうどその枕の上に横たわるような格好で
置かれてあったのでございます。



縫いぐるみも枕も、染みのついた小汚いものでございました。
しかし、人が眠れないときに( 一匹…二匹…三匹… )と数える羊が
街なかで堂々と枕を敷いて寝ているような姿に私
柔らかいユーモアを感じ、思わず微笑んでしまいました。
どなたがこのようなものをここへ置いたのでございましょう。
それとも、元から捨ててあった羊の縫いぐるみと枕を
通りすがりの人間がいたずら気分で
このように置き直したのでございましょうか。



もちろん客観的に言えば、これは不法投棄の一種でございます。
今ごろはとっくに市の清掃局の職員に撤去されておりましょうが
私にとっては実に癒される光景でございました。
何やら自分もその枕に頭を置き
羊に添い寝してみたくなったほどでございます。



普段何気なく見過ごしている街の風景のなかに
ふとした拍子で何かおもしろいものをみつける場合がございます。
そしてそこから得られるものは癒しばかりとは限らないでしょう。
パワーやエネルギーを与えてくれる
活力源となる場合もあるはずでございます。



今度、私が街を歩いているときには
枕の上で眠っている羊の縫いぐるみではなく
ベッドに横たわったダッチワイフを見つけてみたいものでございます。
そのときは私もそのベッドに横たわり
ダッチワイフと添い寝はもちろん
ハメ寝もすることにいたしましょう.....






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