本家本元






お目汚し、失礼いたします。



去年のことになりますが、ある女性のお客様の御自宅へ商談のために出かけておりました。
はっきり申しまして儲けが少なくて面倒な案件なのですが
相手は個人的にお世話になっているかたのお知り合い。
そして何よりも女性だということでけっこう気を遣いました。



このお客様、ミュージシャンの大黒摩季に似た私好みの熟女でしたが
無駄話が多くて融通の利かないところがあり
話が先に進まない上に何度も商談内容の確認が必要で手間がかかりました。
そんな中、テーブルを挟んで椅子に腰掛けてお客様相手に話をしていると
その部屋へ音も無く入ってきた者がおりました。
柴犬でございます。



お客様が室内犬として飼っているペットだとのことでよく躾けられており
鳴き声一つ発しませんし、やたらと動き回るということもいたしません。
そして私やお客様にじゃれつくことも無く
私達の商談の邪魔にならぬようにしながら悠然と室内を歩き回っております。



何やらずいぶんと賢そうな犬に見えました。
某携帯キャリア会社のCMに出てくる犬を連想いたしまして
ひょっとしたら日本語を喋るんじゃないか、商談もできるんじゃないか
この犬が相手なら商談もスムーズに進むんじゃないかという気がしてきました。
ああ、できることならお客様の代わりに私の商談相手になってくれないだろうか。
思わず「 チェンジ 」と言いそうになったほどでございます。



結局一時間以上かかって人間相手の商談は終わりましたが、正直疲れました。
ふと横を見るとお客様の柴犬が私の足元に座ってこちらを見上げております。
「 お疲れさま 」と言っているようでした。その姿に癒しと愛おしさを覚えた私
冗談交じりですが、お金は要らないからバーター取引にして
この柴犬を譲ってくれとお客様に申し上げました。



しかしお客様は首を縦に振らず、バーターはダメ。
だってその子は私の大切なバター犬だからと、けんもホロロなお返事。
そしておもむろに「 さぁ、いらっしゃい 」と柴犬に声をかけると
キッチンがある部屋へ一緒に入って行き、やがてその部屋から
犬が動き回るせわしない物音と、お客様の甘く切なげな喘ぎ声が流れてきた次第.....



まぁ冗談はさておき、商談を終えた私がお客様の家の玄関まで行くと
あの柴犬がお客様とともに見送りに出てくれております。
そんな柴犬に軽く手を振り、私はお客様の御自宅からおいとまいたしました。
今年は戌年ですが、最近はペットとしては猫の人気が高いそうでございます。
猫と比べて犬は飼うのに手間とお金がかかるのがその理由のようですが
癒しや愛おしさをより強く感じるのは、やはり犬の方が本家本元ではないか
ふと、そう思いました.....





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