どこでもゲーセン




お目汚し、失礼いたします。



一週間ほど前のことでございます。
昼過ぎにお得意様へ車で納品を済ませたあと
事務所へ戻る前に、とあるスーパーマーケットへ寄りました。
そのスーパーは、店舗と同じ敷地に駐車場が併設してあるのですが
店舗の屋上も駐車場になっております。
併設の駐車場が込んでいるのを見た私は
屋上の駐車場の方へ向けて傾斜路を車でのぼりました。



屋上の方は下の駐車場と比べると、廃墟といってもいいほど
停めてある車の数は少なぅございます。
そこへ車を停めた私は、ペントハウスの壁際に置かれてある自動販売機で
缶コーヒーを買って飲みました。



その自動販売機から少し離れた位置に、スマホをいじっている
20代後半と思しき男性が壁にもたれて立っておりました。
なにやらモバイルゲームに熱中しているらしく
スマホからはしきりにBGMやSEの類が流れておりましたが
それがまたボリュームがMAXの状態ではないかと思われるほど
大きなものでございまして、しかも「 HA!」とか「 HO!」とか
「 ズンドコドコドコドン! HEY!」とかいう
ラテン系のノリでございます。



男性は見たところ、ネクタイを締めたキチンとした身なりの
サラリーマン風の若い衆でございます。
どんなゲームをやっているのか、激しく興味をそそられた私は
彼のスマホの画面を覗いてみたくなりました。
しかし黙ってこっそり近づき、他人の携帯電話の画面を盗み見るのは
罪悪感がございますし、盗み見がばれたらトラブルになるかもしれません。
かといって50過ぎのオッサンが

「 もしもし、そこの若い衆。お楽しみのところ申し訳ないが
 そのゲーム、私めにもちょいと見せてはくれますまいか?」

と声をかけるのも痛々しきこと。



ならばそのゲームのBGMやSEにあわせて
「 HA!」「 HO!」「 ズンドコドコドコドン!」と踊りながら近づけば
目立たずさりげなく盗み見ることができるのでは? と思った私
SEにあわせて「 HA!」と右手を振り上げようとした時
何を思ったのかその若い衆、突然ゲームを終了させ
スマホをポケットに入れると駐車場に置いてある
白いライトバンの方へ歩いていきました。
そしてそのライトバンに乗って去っていったのでございます。



たぶん彼は外回りの営業部員で、サボっていたか
もしくは時間待ちをしていたのでございましょう。
しかし頭の古い私が思うに、ひと昔前ならそういった時間つぶしは
喫茶店でコーヒーを飲んだり、書店で立ち読みをするというのが
定番だったはずでございます。
ところが今やドラえもんの道具のごとく
スイッチ一つでそこがアミューズメントスペースになってしまうような
便利なものがございます。
それゆえ、その仮想のアミューズメントスペースで時間をつぶすのが
最近のトレンドとなっているのかもしれません。
なにやら隔世の感を覚えた次第でございます.....






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