昭和の香り

昭和の香り 2





お目汚し、失礼いたします。



数日前のことですが、某動画配信サイトにて
三池崇史氏が監督を務めた映画作品「 愛と誠 」が流れておりました。
この作品、先月亡くなった歌手の西城秀樹氏がかつて主演した映画のリメイクでございまして
もしかすると西城氏の追悼の意を込めての配信企画だったのかもしれませんが
ちょいと興味をそそられて私、拝見いたしました。
私、西城秀樹版の「 愛と誠 」を見たことはございませんが
今から44年前、その映画の封切当時は梶原一騎原作・ながやす巧作画の漫画が
若い世代に人気のある西城秀樹というトップアイドルを主役に据えた実写映画になるということで
かなり話題になっていたのを記憶しております。



原作の漫画は断片的にしか読んだことがございませんので
物語の核や芯となるもの、作者が伝えたかったことなどについては私
ボンヤリとしたイメージしか持ち合わせておりません。
そのような私的イメージに沿ってこの漫画の内容を申しますならば
幼い頃、不幸な出会いをしてしまった貧しい少年と上流階級の少女が
高校生になって運命的な再会へと至り
そこから二人を台風の目とする狂乱と暴力の嵐が繰り広げられるといった物語でございます。
その物語が映画化されたわけですから、さぞや激しく傷ましくシリアスにと思いきや私
あっけに取られてしまいました。



なんとこの映画、ミュージカルかつコメディなのでございます。
リメイクとはいえ、その思い切った手法に私、あっけにとられてしまいました。
主人公・太賀誠を演じる妻夫木聡はもちろんのこと、ヒロイン・早乙女愛役の武井咲など
主な登場人物が歌い、踊り、大ボケやギャグをかますのでございます。
コメディはまぁいいとして、問題はミュージカルでございます。
ミュージカルと聞くとタモリ氏のようにアレルギー反応を起こす方がいらっしゃいますが
私も同じようにミュージカルが大の苦手でございます。



ところが、でございます。
劇中に出てくる歌は、ちょうど私が幼少期から10代にかけて世に流れていた
昭和を代表するアニメ主題歌や歌謡曲、フォークソングや流行歌などがほとんでございまして
耳慣れた歌の数々に懐かしさが込み上げ
まるでかさついた肌を潤すようにしっとりと五感に溶け込んでまいりました。
しかもその潤いはとどまるところを知らず、私の全身を瞬く間に満たしていき
やがて許容量を超えた潤いは、その出口を私の両目に求めて流れ出たのでございます。



そうなるともはや、見ていて小っ恥ずかしくなるようなセリフや演出も、寒いギャグも気になりません。
良い意味で期待を裏切られた映画でございまして
初見であるにもかかわらず、見事に私の琴線とキンタマに触れて来た作品でございました。
まるでガチガチのお堅い処女だと思っていた女性が、事に及んだら意外とスムーズにヤラせてくれたような
または、いかついノンケ野郎だと思っていた相手の肛門が、すっかり開発済みだったと知ったときのような
そんな気がした映画でございます。



この作品、もうすでに5年か6年ほど前の作品だとの事ですが
不覚にも私、その頃このような作品が公開されていたことなどまったく気づいておりませんでした。
気づいてはいたかもしれませんが、ほとんど興味がなかったか
あるいはリメイク作品の残念さというものが先入観としてあったせいか
感覚的にスルーしていたのでございましょう。
私にとっては隠れた名作、埋もれた秀作となったわけでございますが
ただし、そう言えるのは私のような昭和生まれの人間に限ってのことかもしれません。
この作品の全編を通して描かれているのは「 昭和の香り 」でございます。
今時の若い衆からすれば、「 ハァ? 何これ?」「 だっさ 」「 キンモ~ 」「 痛杉 」というような感想しか
生まれてこないかもしれません。



しかし少なくとも私にとってはイイ映画でございました。
そして私を感動させてくれたこの映画を作るために
一所懸命に演じてくださった俳優や女優の皆さん
制作に携わった監督やカメラマン、その他大勢の撮影スタッフ・制作スタッフの皆さんに
この場を借りて謝意と敬意を表したいと存じます。





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