茶の間のよすが






お目汚し、失礼いたします。



落語家の桂歌丸氏が今月初めに亡くなり
某テレビ局では毎年恒例のチャリティ番組内にて
歌丸氏を偲ぶドラマを流すことを検討しているようでございます。
桂歌丸氏といえば同テレビ局の演芸バラエティ番組「 笑点 」の司会でおなじみでございますが
元々は番組内の大喜利のコーナーに出演するレギュラーメンバーの一人でございました。



この大喜利のコーナー、特に印象に残っておりますのは私が中学生の頃
レギュラーメンバーの桂歌丸氏と三遊亭小圓遊氏が、まぁネタなんでしょうが
「 ハゲ 」「 化け物 」というふうに何かとお互いを貶し合う場面でございます。
当時はこのお二人の貶し合いが大喜利の視聴率獲得に貢献していたようでございまして
父親と母親、それにちょうど遊びに来ていた親戚の大人たちが
お二人の仲の悪さを肴にビールを飲んで盛り上がっていた様子を昨日のことのように思い出します。



私も二人のいがみ合う姿を見ておもしろいとは思いましたが
世代の違いだったのでしょうか、大声で笑う大人たちほどは盛り上がることも無く
テレビを見ながらただ黙々と夕食を頬張っておりました。
そして中学生の高学年となり、高校生となるにつれて笑点も大喜利も
私の意識の中で色褪せていくようになったのですが、相変わらず日曜の夕方の茶の間では
大喜利の音声と大人たちの談笑が聞こえておりました。



やがて私も食事を親と共にすることが少なくなり
日曜の夕方に家族そろって茶の間で夕食を楽しむことはほとんど無くなってしまいました。
それでもなお日曜日の夕方には笑点の大喜利がテレビで流れておりまして
父親と母親がときどき笑う様子は自分の部屋にいた私の耳にもかすかに聞こえておりました。
しかしその母親も父親も亡くなってしまい、もはや歌丸氏も笑点も大喜利も
たまたまテレビのチャンネルを合わせたときに見かけるだけのものになってしまいました。



正直なところ、桂歌丸氏個人に特別の思い入れはございません。
しかし日曜の夕方、大人たちと一緒に食事をしながら見ていたテレビ番組に
歌丸氏が出演していたこと
私が馬鹿で生意気な10代半ばの少年になってからも
親や大人たちは歌丸氏が出ている大喜利を見ながら談笑していたこと
そして日曜の夕方に歌丸氏が出演する大喜利や笑点がオンエアされているのを
当たり前のように思って何も気にとめていなかったことを思うと
何ともいえない切なさと悔しさが込み上げてまいります。
桂歌丸氏は、私が子供の頃、大人たちが楽しそうに嬉しそうに茶の間でテレビを見ていた姿を
私に思い出させてくれる「 よすが 」だったのでございます.....



歌丸師匠、お疲れさまでした。
慎んで御冥福をお祈りいたします。





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