一難去って一安心






お目汚し、失礼いたします。



得意先の工務店の社長がぼやいておりました。
6月に地震、9月に台風で仕事がひっきりなしに入ってくる。
壁にひびが入った、屋根が剥がれた、瓦が飛んだ、シャッターが壊れた
サイディングが落ちた、ブロック塀が崩れたと被災した一般家庭や企業から
次々と見積もりや修理の依頼が舞い込んで来て忙し過ぎるというのでございます。



普通なら嬉しい悲鳴といったところでございましょうが
被災されたかたのことを考えるとそんな不謹慎な気分になることもできず
仕事に没頭しようにも人手や物資が足りずに物事が前に進まないとのこと。
仕方ないので人手の面に関しては自分で何もかもやっているのですが
もういい年なのにろくに休みも取らずに朝早くから夜遅くまで働き詰めで
セルフブラック企業状態だそうでございます。



6月に起きた地震の時からすでにこういう状態で
8月末ごろにようやく地震関係の仕事が片付く目処が付き
「 やれやれ。やっと9月からは休みを取れるぞ♪」と思っていたら
今度は台風による災害でございます。
毎朝、寝床から起きるのが耐え難いまでの苦痛だとおっしゃっておられました。



一難去ってまた一難と申します。
人生とは苦難の連続でございまして、この工務店の社長の場合のみならず
誰しも何か一つ危機的状況が去ったと思ったら
またしても危機的状況に追い込まれるというのはよくあることでございましょう。
あるいは、まったく別の危機が、たとえば忙しすぎる状況が消え失せたと思ったら
今度はヒマすぎて困るという危機もありましょう。
そして、たとえどれほど順風満帆な人生を歩んでいても
その終着点に控えているのは「 死 」という紛うかたない現実でございます。
してみると、人生において絶対的な平穏や安心など存在せず
単に「 一安心 」の連続でしかないのではないかという気がいたします。



もっとも、地に足の着いた慎ましやかな生き方をしている人間ばかりではなく
よこしまな考え方に基づいて野放図な毎日を過ごす人間にも
その人生には同じ仕掛けが施されているのでございます。
俗に「 陰毛痒い痒い粗相漏らさず 」などと
おっと失礼、「 天網恢恢疎にして漏らさず 」などと申しますが
不正な行為や乱暴な振る舞いをする人間の人生も
大きな悪行に手を染める者やちっぽけな罪を犯す人間の人生も
単なる一安心の連続でしかございません。



いずれにせよ人生とは
突然腹痛を催し、公衆トイレの個室に駆け込んで ホッ としたら紙が無かった。
たまたまポケットティッシュを持っていたので胸をなで下ろしたが
用を足して出ようとしたら個室のドアが壊れていて外に出られない。
仕切りの壁をよじ登り、個室の上から飛び降りて脱出成功!と喜んでいたら
盗撮犯と間違われて通報された……というようなことの繰り返しでございましょう。
それを「 一難去って一安心 」と思うことが
人が生きていくうえでのスベではないかと存じます.....





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