戦う悪人




お目汚し、失礼いたします。



昔なら怪談話やその手のコンテンツといえば
夏に楽しむものというのが相場でございましたが
今やビデオのレンタル店やネットの動画サイトなどにおいて
年がら年じゅう手軽に楽しめるようになったようでございます。
恥ずかしながら怖がりの私
そういったものとはできるだけ距離を置くようにしておるのでございますが
好奇心旺盛な少年時代には、怖いながらも見てみたいというエネルギーが
コンコンと湧き出ていたものでございます。



そんな「 怖いもの見たさ 」に衝き動かされていた小学生のころ
「 妖怪百物語 」という映画を
駅前にある地元の映画館で見たのでございますが
この中で「 ろくろ首 」という妖怪が出てくる場面がございました。
この場面、映画の本筋とはあまり関係の無い
劇中劇の中に登場するのでございますが
これが私にとってトラウマになってしまいまして
この場面をYouTubeなどで見る時は今でも体が強張り
できるだけ画面を縮小して見るようにしております。



この「 ろくろ首 」を見てから以後も私
テレビで怪談物やホラー関係の映画・ドラマがオンエアされると
せっせと懲りもせずにチャンネルを合わせ
一つ、また一つとトラウマを増やしていったのですが
それらの映画やドラマのうち、時代劇においてよく出てくるのが
悪役の侍や商人などが幽霊・妖怪に襲われるシーンでございます。
たいていの場合、それは彼らがその悪行の報いを受けて命を落とす
という形をとっているのですが、この悪人たち、けっこう勇敢でございます。



なぜかと申しますと幽霊や妖怪に襲われた彼らは
とりあえず「 野郎、成仏しやがれ!」とか「 おのれ妖怪!」とか言いながら
刀や匕首を手に幽霊や妖怪に切りかかるのでございます。
そんな彼らも、最後は結局、恐怖でパニック状態になりながら
死んだり殺されてしまったりするのでありますが
少なくとも幽霊や妖怪といった人智を超えたものを相手に
戦いを挑む姿勢は勇猛果敢と言えるでしょう。
私にはとてもそんな真似はできません。
恐怖で棒立ちになるか、失禁するかが関の山でございます。



時代劇の悪人たちを決して英雄視するわけではございませんが
閉塞感や無力感の漂う現代社会で暮らしておりますと
そんな連中にさえ頼もしさを感じてしまいます。
もっともその閉塞感や無力感は、どんなに勇ましい悪人もたやすく蹴散らし
どんなに気高い善人も取り憑かれてしまう
世にも恐ろしい幽霊・妖怪なのでございますが.....






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