秋のモスキート




お目汚し、失礼いたします。



「 暑さ寒さも彼岸まで 」とはよく言ったものでございます。
毎日火事場のド真ん中に居るかのようだったキチガイじみた暑さも
彼岸を過ぎたころから遠慮がちになってまいりまして
夜間はもはや涼やかというよりかは肌寒いような心地になることもある
今日この頃でございます。



そんな季節の移り変わりが感じられるにもかかわらず
どうしたわけか夏場に私たちを悩ませる厄介者
蚊が昨夜、私の自宅の部屋で飛び回っておりました。
地球温暖化の影響でございましょうか
近頃は年がら年中、この小さな吸血鬼によって悩まされることがございます。



蚊といえば米国では今年の夏
蚊を媒介にして西ナイル熱という伝染病が流行し
100人以上の死者が出たそうでございます。
また私どもは少年時代に、やはり蚊が媒介する日本脳炎という伝染病の
ワクチン接種を受けたことがございますし
平清盛を死に至らしめたといわれるマラリアという病気も
比較的耳に馴染みのあるところでございます。



そういった恐ろしい病気を人間にもたらす蚊ですが
夏場に出没するのは当たり前なのでさほど気にはならないものの
季節はずれや盛りを過ぎた頃に見かけると無性に気になるもの。
一匹だけのようなので手で叩いて退治しようとしたのですが
相手がすばしっこいのか私がドン臭いのか、うまくいきません。
そこで私、蚊取り線香に火をつけ、自分の部屋の隅っこに置いた次第。
ところがこれが大失敗の原因でございました。



そのときは夜分遅く
風呂から上がってPCを見ながらマタ~リとしておったのでございますが
やがてウトウトとして眠くなり
すぐそばに敷いてあった敷布団に横になったのでございます。
とたんに睡魔に犯されてしまい
目覚めたときは明け方の5時ごろでございました。
点けっぱなしになっていた蛍光灯の明かりで照らされている室内が
なにやら白く煙っているのに気づき
火事ではないかと飛び起きたのでございますが
よく見ると蚊取り線香の煙でございます。



眠りに落ちる前、秋めいた夜の空気に肌寒さを感じていた私は
部屋の窓を閉め切っておりました。
廊下側のドアは開けていたのですが、それでもかなりの量の煙が室内にこもり
私、蚊取り線香によって燻製にされてしまったのでございます。
しかも風呂上りでシャツとパンツしか身に着けていなかったため
寝冷えを起こしたのか、体がだるく頭痛がいたします。



しまった……と思いましたが、あとの祭り。
しかも今日の午前中、大事なお客様とお会いしなければならないというのに
体調を崩していてはきちんとした商談ができません。
そんなふうに困惑している矢先、やってまいりました。
寝冷えの症状の定番、下痢でございます。
トイレに駆け込んだ私、早朝から派手な音を立てて
排泄活動に勤しんでしまいました。



トイレで用を済ませた後も、体はだるく頭痛はひどく
煙で燻されたせいか寝冷えのせいか存じませんが
何か喋ればセクシーな鼻声でございます。
ドリンク剤か風邪薬でも飲もうかと思いましたが、胃腸が刺激されて
またぞろトイレに駆け込まなければならなくなるのではと心配し
やめました。



しかしこんな体調のままで仕事に出かけるわけにはまいりません。
なんとか薬の類に頼らずに元気を取り戻す方法はないかとあれこれ考えた末
オナニーをやってみれば頭もシャキッとして全身の血流が良くなり
燻製と化した体を活性化して健康な体に戻すことができるのではないかと
性魔術まがいのことを思いつき、NHKの朝のテレビ体操を見ながら
オイッチニィ、オイッチニィ、とヤッておったのでございますが
こすってもこすっても煙さえ出ない始末。
全身を煙で燻されたというのに、なんとも皮肉なものでございます。



結局、ドリンク剤を湯で1/2に薄めたものを飲み、仕事に出かけました。
そしてそれが効いたのかどうかは不明ですが
お客様の前でどうにか醜態をさらさずにすんだのでございます。



人間の血を吸い、恐ろしい熱病を媒介し
50過ぎのオッサンを燻製にしてしまう蚊という生き物。
まことに忌々しいヤツでございます.....






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